私の闇の奥

藤永茂訳コンラッド著『闇の奥』の解説から始まりました

ベネズエラのコミューン運動(2)

2017-05-24 21:30:53 | 日記
 ベネズエラの現大統領ニコラス・マドゥロは、彼を後継者として指名したウゴ・チャベス前大統領の遺志を忠実に継承していますが、政治家としての器が遠くチャベスに及ばないのは誠に残念です。チャベスは、その生前の発言から、ベネズエラの民主主義政治形態として、コミューン・システムに基づいた民主国家の建設を目指していたことは明らかです。それは石油の輸出に全面的に依存した国家経済の是正とも深く関連していました。これに関しては、次の記事が参考になります:

https://venezuelanalysis.com/analysis/11466

しかし、現在のベネズエラの憲法には、コミューンの位置が規定されていません。マドゥロ大統領は現在の国家危機を克服する手段として憲法の改正を求めていますが、コミューン運動の支持者たちはコミューン・システムが組み込まれた憲法の改正を要求し期待しています。それを報じたのが
「Venezuelan Revolutionaries Demand ‘Truly Communal State‘」と題する
前回に紹介した記事です:

https://venezuelanalysis.com/news/13123

しかし、現在のベネズエラの危機はあまりにも切迫していて、マドゥロ大統領の意図する憲法改正が成功するかどうか、大いに危惧されるところです。ブラジルに続いて、ベネズエラも米国によるレジーム・チェンジの毒牙にかかるとなれば、これは痛恨の事態と言わなければなりません。
 私は、しかし、すれすれの所でベネズエラは今回の危機を乗り越えることができるのではないかと思っています。この判断あるいは推測の根拠の一つは、上掲の記事に含まれている約5分の長さのビデオ(英語字幕付き)から直に感じられる、米国に支持された反政府運動に対抗するベネズエラの下層一般民衆の熱気です。この熱気は我々一般の日本人の耳目を支配しているマスメディアからは感得し難いものですが、幸いにも、それをひしひしと感じさせてくれるウェブサイトがあります。Libya360°というサイトで、それを主宰しているのはアレクサンドラ・バリエンテというリビア人の女性ジャーナリストです。この人については以前(2014年12月19日)のブログで取り上げたことがありました。初めの部分を再録します:
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Alexandra Valiente, Libya 360
2014-12-10 22:10:32 | 日記・エッセイ・コラム
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 アフリカ大陸で一番輝いていた国リビアが米欧の凶暴な暴力によって滅ぼされた(今のリビアはもはや国ではありません)頃から、私は、Libya360°というサイトに気づき、それ以来、大変お世話になっています。他のところでは読めないような充実した有用な情報がしばしば掲載されているからです。

http://libya360.wordpress.com

近頃の例で言えば、12月4日のウラジーミル・プーチン大統領がロシア連邦議会で千人以上の聴衆の前で行った年次教書演説についての記事です。その短い要約はロシアNOWというサイトに日本語で出ていますが、要約と全文(英語訳)では、有用さの点で比較になりません。

http://jp.rbth.com/politics/2014/12/05/51345.html

この内容はクレムリンの正式の英訳文を転載したものです。:

http://eng.news.kremlin.ru/news/23341
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このアレクサンドラ・バリエンテという注目すべきリビア人の女性ジャーナリストについては、リビアの現状について考える次の機会にぜひもっと立ち入って論じたいと思っています。
 現在、http://libya360.wordpress.com のサイトはベネズエラに関する長文の記事で溢れています。その中から二つを選んで下に掲げます。始めの記事からは、チャベスが始めた社会革命を守ろうとする民衆の本当の姿が見えてきます。次の記事からは、民衆が守ろうとしているものを徹底的に破壊しようとする暴力の本当の姿、現政権を打倒するために極めて注意深く組織化された反政府暴徒の実相が見えてきます:

https://libya360.wordpress.com/2017/05/11/real-revolution-in-the-barrios-of-venezuela/

https://libya360.wordpress.com/2017/05/16/venezuela-the-covert-war-against-the-people-and-their-armed-forces/

5月17日、米国の国連大使ニッキー・ヘイリーは国連安全保障理事会で、“ベネズエラの進行している政治的危機状態についてのブリーフィング”なるものを行いました。彼女は「このブリーフィングの意図は誰もがその状況をわきまえているようにすることであり、国連安全保障理事会が行動を起こすことを求めるものではない」と言いながら、ベネズエラのマドゥロ政権が自国人民の人権を蹂躙する暴政を行なっていて、これは、シリア、北朝鮮、南スーダン、ブルンディ、ビルマについても同じことだと発言しました。しかも、米国がマドゥロ政権の打倒を執拗にねらっているのは明らかなのに、「我々は反政府勢力側の味方でも、マドゥロ大統領側の味方でもなく、ベネズエラ国民の味方だ(We're not for the opposition, we're not for President Maduro, we're for the Venezuelan people)」と白を切りました。米国国務省は、この数年間に、数千万アメリカドルの資金を反政府勢力側に与えてチャベス・マドゥロ路線の壊滅を狙っているのは疑う余地のないところです。
 前任者のスーザン・ライス、サマンサ・パワーに続いて、何ともやりきれない碌でなしの女性が米国国連大使になったものです。

藤永茂(2017年5月24日)

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1 コメント

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末期でも治療は可能 (仙人)
2017-05-31 21:46:07
タウリンを飲めば末期がんでもなんでも
治療できます。万能のアミノ酸です。大人は平均一回175mgで1日三回必要ですが、平均ですから自分で加減して飲みましょう。
サプリが嫌なら、食事でも対処できます。
毎日回転寿司屋でイカやタコを中心に食べましょう。ガリやアオサ汁等も忘れないように。更にビタミンD400I.Ux3/日の併用も最高です。又は牛乳やキクラゲを良く食べることです。うまくすれば末期がんでも治ります。勿論血圧を良くなります。
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