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写真の縦と横

 昨日、「縦か横か、それが問題だ」と題した、いつもにも増して雑駁な駄文を書きましたが、予想に反して幾人かの方からblogに直接&FB上でコメントを頂きました。必ずしも頂いたコメントへのお返事とはなりませんが、再度、写真の縦横の問題について考えてみました。

 KKさんからは「iPhoneはiOS7から撮ったその場でトリミングできるようになったので縦横が気にならなくなるのでは」と云うコメントを頂きました。確かにその通りです。スクウェアにトリミングすれば、それは縦でもあり横でもある訳で、例えばFacebookでどのように表示されようと撮った通り、それはちゃんと表示されるはずですからね。ただし、そのスクウェア・正方形の写真と云うのが曲者なのです。

 いまでこそ「真四角写真」などと云ってスクウェアな写真がブームになったりもしていますが、歴史を遡っても写真は常に長方形(注1)であったのです。ダゲレオタイプしかり、乾板時代もシートフィルムになっても長方形です。では、いつからスクエアな写真が撮られるようになったかと云えば、ブローニーフィルム(120フィルム)を使い6cm×6cm(ろくろく)で撮影する二眼レフが登場してからだと思うのです。
注1:乾板時代もそうですがシートフィルム時代になっても4×5インチ(しのご)、8×10インチ(えいとばいてん)と、そのアスペクト比はせいぜい1:1.25程度とかなり正方形に近い長方形でした。

 アスペクト比を自由に選べたはずなのに何故二眼レフにおいてスクウェアな「ろくろく」が選ばれたのかと云えば、これは郷秋<Gauche>の想像ですが、横倒しにして撮影するのが事実上不可能であった二眼レフカメラの構造上の問題から、それでも縦位置写真を撮ることが出来るようにと云う事だったのではないでしょうか。もっとも、どんな場合でも「ろくろく」の二眼レフカメラで実際に撮影するのはスクウェア写真です。

 長方形の写真になるのは「ろくろく」で真四角な写真を撮った後なのです。確かにフィルム上ではスクウェアでもプリントするとなると印画紙は長方形ですから、引き伸ばしする際に必ず縦もしくは横にトリミングすることになる訳ですね(注2)。印画紙にはキャビネ、六切、四切等の種類がありますが、いずれも長方形で、私が知る限り正方形の印画紙はありません。
注2:ベタ焼(コンタクト)すればスクウェアな写真になりますが、印画紙の左右(上下)には余白が出来ます。

 何故印画紙が長方形なのかと云えば、それはきっと絵画の影響なのだと思います。油絵用のキャンバスのサイズ(規格)は人物用(アスペクト比1:1.28)、風景用(同1:1.5)、海景用(同1:1.8)といずれも長方形。正方形の物もあるようですが基本はやはり長方形です。面白いことに人物用キャンバスのアスペクト比がコンパクトタイプデジタルカメラのイメージセンサーと同じ、風景用のそれがデジタル一眼レフのイメージセンサーと同じ、そして海景用のそれがハイビジョンのアスペクト比と同じです。

 写真は常に絵画の影響を受けそのアスペクト比が決まって来たのではないでしょうか。二眼レフはその構造上の制約からフィルムをスクウェアに使うことを選びましたが、プリントする際には常に長方形にトリミングしていたわけですから基本はやはり長方形で、しかも人物写真(ポートレート)以外は基本的に横長なのです。

 では、どうして真四角写真が新鮮に見えるのかと云えば、基本的に長方形のはずの写真なのに、それがスクウェアだからです。つまり「物珍しさ」ですね。縦位置の写真が時に目を引く理由も同じで、基本的に横長ではずの写真なのに縦長である事、つまり通常の横に広がった人間の視角とは違った新鮮さがあるからなのでしょう。

 勿論真四角写真にはそれなりの良さもありますから、撮ってしまってから真四角にトリミングするのではなく、アスペクト比を変更できるカメラの場合には撮影時に1:1に設定てし、きっちりとフレーミングして撮る、あるいはスクウェアにトリミングすることを前提にフレーミングしてシャッターボタンを押したいものです。ただ四角いだけでは四角「だけの」写真でしかなく訴えかけてくるものはありませんから。


 多くはありませんが、郷秋<Gauche>も真四角写真を撮る(作る)ことがあります。被写体の形にもよりますが、余白を作らず被写体を大きく見せることが出来るのはスクウェアな写真のメリットの一つです。現代的には、既に書いたように意図せぬマスクをかけられることなく、常に意図した通りに表示される可能性が高いのも真四角写真のメリットの一つと云えるでしょうね。

blog「恩田の森Now」
19日に撮影した写真を掲載いたしております。寒いさなかですが聞こえ始めた春の足音を確かめていただければ嬉しいです。
http://blog.goo.ne.jp/ondanomori/

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