「募集停止」とは随分と優しい言葉だが、つまりは、今月入学したばかりの1年生が卒業する2016年3月で廃校になると云う事である。
報道によれば、東京都町田市(と云っても小田急と横浜線の町田駅からは相当な距離があり、大和市との境界に近い。最寄駅は東急田園都市線の南町田駅であるが、「グランベリーモール」を通り越し、更に南に500m程歩かなければならない)にある東京女学館大学を運営する学校法人東京女学館の理事会が、同大の学生募集を来年度から停止することを決めたと云う。
同大学は、1956年に設置された短期大学から2002年に4年制大学に転換改組しているが、郷秋の記憶が正しければ、一度は4年制大学への転換改組の広報をしたものの文部科学省の認可が得られず、移行が1、2年遅れたはずである。遅れた理由が経営内容に関するものなのか教育内容・教員組織にあったのかは不明だが、4年制への移行直後から定員割れが続いており、約25億円の累積赤字があるという。
4年制大学の廃校は戦後9校目であるとの報道であるが、株式会社立のLEC東京リーガルマインド大(東京都千代田区)を除いてはすべて首都圏以外の大学であり、首都圏の4年制大学としては東京女学館大学が初めてのケースになるものと思われる(共立薬科大学のように他の4年制大学(この場合は慶應義塾大学)に合併吸収され消滅した例はある)。
18歳人口が減少に転じた以降も、安易な新規大学設置、学部・学科の増設、短大から4年制への転換改組を認めてきた文部科学省の高等教育行政の在り方と共に、公教育たる高等教育の3/4を担う各大学を設置する学校法人の経営責任が問われることは必至である。
あなたのお子さん、どの大学に入学させますか? 知名度・ブランド力、受験時点での偏差値、上場企業への就職率だけではなく、本当に価値ある教育をしているのか、卒業後も末長く存続する大学であるや否や、その大学・設置法人の教育内容・経営状況もよくよく見極めないとならない時代になって来たと云う事です。誰も想像だにしなかった山一証券、拓銀の倒産、そこまで遡らずともJALの経営破たんの例があることを思い出してみれば、これまでの価値基準で大学を選んではいけない時代に入ったことにお気づきになることでしょう。