カメラのさくらや、全店閉店・清算

 「さくらや」を傘下に収めていたベスト電器が、業績回復が遅れ営業赤字が続いていたさくらや全店を閉店し清算することを決定した。2月末で「カメラのさくらや」が消えることになる。

 今では全国くまなく電器やカメラの大型量販店があるし、近くに量販店がなくてもネット通販で価格を比較し安くて安心だと思う店から購入する事が出来るけれど、郷秋<Gauche>の学生時代はそうではなかった。電気製品もカメラもほとんど定価販売。そんな中、新宿駅西口の「ヨドバシカメラ」と東口の「カメラのさくらや」はカメラ、写真用品の安売り店として既に全国的に有名な存在だった。

 当時、東口のさくらやは既に「会社」の体を成していたように記憶していたが、西口のヨドバシカメラは活気こそあったが「バッタ屋」に毛の生えた程度の店だった。例えば写真展用のパネル(注)を買いに行くと、倉庫のようなと云うより、倉庫そのもののような店の天井に開いた穴に向かって「半切のパネル10枚」と叫ぶ。天井裏にいる店員が「はいよ!」と云いながら件の穴から下にいる客にパネルを差し出してくれる。初めての時にはいささか驚いたが、結構面白くもあったなぁ。

注:2cm角の木材で枠を作りそこにベニヤ板を張ったもの。水洗の終わった写真(印画紙)をベニヤの上に乗せ四方を横に折り曲げホチキスで止める。乾いてピンと張ったらホチキスが見えないようにパネルの周囲を紙テープで化粧し写真パネルの出来上がりとなる。今は額装が当たり前だが、「昔」は木製パネル張りが一般的だった。

 当時のヨドバシは新聞紙大の価格表を毎月出していた。黄色い用紙の両面にカメラやレンズ、フィルムや印画紙その他写真用品の定価とヨドバシ特価がぎっしりと書かれていて、毎月出される最新版を持っているのが写真愛好家の証みたいな時代だったな。買えもしないカメラやレンズの価格表を飽きもせず眺めて随分と楽しんだものであった。

 そのヨドバシが家電量販業界3位となる一方、業績不振のさくらやは2006年にはベスト電器の子会社となったけど、結局採算ベースに乗らないまま2月末には閉店・清算される。何だか「盛者必衰の理」みたいな話しだなぁ・・・


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、開花の時を待つ辛夷(こぶし)の花芽。
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