F1 2006年第7戦モナコGP予選結果

 早いもので今年のF1も中盤戦突入。そして全18戦のレースの中でも特別なモナコGPである。ここでの3度以上の勝者はモナコ・マイスター(モナコ職人)と呼ばれ、歴代のチャンピョンの中でも特に敬意を表される。カードレールに囲まれエスケープゾーンのないモンテカルロ市街地コースはそれほどまでに難しく、だからこそドライバーとしては戦いがいのある特別なコースでもあるのだろう。

 最初にモナコ・マイスターと呼ばれたのはグラハム・ヒル。1963-65の3連勝を含んで5度勝利している。次のモナコ・マイスターが登場するのは20年後。アラン・プロストが1984年から3年連続で優勝し、二人目のモナコ・マイスターと呼ばれるようになるが、プロストはさらに1988年にも勝利し都合4勝をあげている。

 今の日本で一番有名なモナコ・マイスターはアイルトン・セナ(1960-1994)だろう。セナは特にこのモナコGPを得意とし1987年の優勝の後、1989 - 93年には5連勝し通算6勝
をあげている。甘いマスクと神懸りとも言えるほどに走りとで人気を博したことは記憶に新しい。

 さてもう一人、現役で唯一モナコ・マイスターと呼ばれるドライバーがミヒャエル・シューマッハである。1994-95年、97年、99年、2001年と通算5勝をあげている。4年ほどモナコでの勝利から遠ざかっているミヒャエルだが、ここに来て調子の良くなってきたマシンで勝利しモナコでの勝ち数がセナの6勝に並ぶことも期待された。

 ところが予選終盤、ヘアピンへの進入でマシンの体勢を崩しコーナーを曲がり切れずに直進、バリアにマシンを当ててコース上にマシンを止めてしまった(リプレイを見る限りではヒットしていないように見えるし、ミヒャエル程のドライバーがコントロールできないほどのことではなかったように見える。もっとも「故意」であれば話は別だが[5/29加筆])。このことが審議の対象とされ、8時間にも及ぶFIAの審議は「ドライバーが故意にマシンをコース上に止めた」と結論付けられたのである。これによって、セッション1でクラッシュしノータイムとなっていたマッサと共にミヒャエルは最後尾からのスタートすることになる。

 <モナコGP予選結果>
 1位:フェルナンド・アロンソ / ルノー / 1'14"648 MI
 2位:マーク・ウェバー / ウイリアムズ・コスワース / 1'14"082 MI
 3位:キミ・ライッコネン / マクラーレン・メルセデス / 1'14"140 MI
 4位:ファン-パブロ・モントーヤ / マクラーレン・メルセデス / 1'14"664 MI
 5位:ルーベンス・バリチェロ / ホンダ / 1'15"804 MI
 6位:ヤルノ・トゥルーリ / トヨタ / 1'15"857 BS
 7位:デイビッド・クルサード / レッドブル・フェラーリ / 1'16"426 MI
 8位:ジャンカルロ・フィジケラ / ルノー / 1'14"396 MI

 モナコで何よりも重要なスターティンググリッドの最前列に陣取ったこと、そして最大のライバルと目されていたミヒャエルが隣なりにいなここと。この若いドライバーには余り関係がないようにも見えるが、物理的な優位だけではなく精神的にも優位なレースを運べること。まずはアロンソの絶対有利である。

 2列目に陣取ったライッコネンには要注目。昨年の覇者であることを忘れてはならない。ルーベンス、7番手タイムは十分な結果ではないが3戦連続バトンの前であることの意味は大きい。3回目のフロントローを獲得したマーク・ウェバーの走りにも注目したいが、エンジンの信頼性が確保されていないのではと囁かれている中、果たして結果を残せるか。

 さて、ミヒャエル。FIAとフェラーリとの間には、他のチームとの間にはない「特別な何か」があると噂され、レギュレーションの変更が常にフェラーリにとって有利なものであることから、それは噂ではなく半ば真実であるとさて言われて長い。そのFIAが今回の厳しい裁定を下した。それも、通算5勝をあげるモナコ・マイスター、ミヒャエル・シューマッハに対してである。今シーズン後の去就が取りざたされるミヒャエルであるが、今回の裁定が彼の出す結論に影響を与えないとは、私には思えない。


 今日の1枚は、我が家の楠(くすのき)の花。艶やかなものだけが花ではありません。こんなに地味な花を咲かせる木だってあります。もっとも巨木の多い楠だけに下から見上げたのでは気がつかないかも知れませんね。
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