考える人、読まない私

 毎号紹介しているような気がする新潮社の季刊雑誌『考える人』の2005年秋号が一か月前に出ていたのに気が付いた。いや、この書き方は正確ではないな。勿論発売日に買ってはいたけれど、発売・購入から一か月を経てようやく読む時間が取れたのです。

 郷秋<Gauche>はクルマの月刊雑誌を3誌定期購読しているけれど、こちらもこのところ積み上げたままで、先月号どころか8月発売の号さえろくに目を通していないような状態。今年はナンだかすごく忙しい、というより慌しいというのかな、ゆっくりと流れていく時間を手にとって確かめるようなゆとりがないんだな。これではまるで人生の浪費ではないか。いかん、いかん。

 さて、『考える人』。いかに季刊とは言え発売から一か月も経っていては記事の紹介もないだろう。と言う訳で今日は「次号」のお知らせ。『考える人』の次号は12月28日発売だ。おいおい、随分と暮れも押し迫っての発売ではないか。年末の大掃除も終わったところで一杯やりながらゆっくりと読んでもらおうという魂胆か?

 その次号の特集は「1962年に帰る」だ。1962年とはまた随分とビミョーな年ではないか。60年安保と64年の東京オリンピックの狭間。ビートルズが下手クソな歌でデビューした年、マリリン・モンローが死んだ年だ。そのくらい、郷秋<Gauche>だって知っている。三島由紀夫の「美しい星」、北杜夫の「楡家の人びと」、大江健三郎の「不満足」が世に出た年だ(これは『考える人』の受け売り)。

 1962年は、戦争の痛手からとりあえず立ち上がった高度成長時代の出発点。それは現在(つまり2005年のことだ)へのスタート地点としてエポックと言える年である。そんな1962年を特集するというのだから、期待は否が応でも高まるぞ。売れていない割には執筆人は豪華だし、まさしく「特集」と言ってよいだけ、たっぷりとページを取ってあるのは『考える人』の美点、売りの一つ。年末年始の楽しみが一つ増えたと言うものだ。

季刊誌「考える人」2005年秋号
発売中 新潮社
B5判 280頁 定価1,400円(税込み)
2006年冬号は12月28日発売予定
コメント ( 3 ) | Trackback (  )