福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

シーラントとむし歯予防

2013-11-21 | むし歯予防の話

歯科でシーラントというと、奥歯の噛み合わせ部分などのむし歯予防に有効な処置です。
むし歯予防というと、フッ素の使用がが代表的なものですが、効果が不充分なのが、溝部分のむし歯予防効果です。
アメリカなどのように水道水にフッ素を入れている国では虫歯がかなり減少していますが、それでも虫歯ができるのが溝の部分ということで、日本以上にシーラント処置を薦めています。
私たちを一番悩ませる歯間むし歯も、私がアメリカで臨床した経験では日本よりはるかに少なく、やはりフッ素効果は大きいと実感します。デンタルフロス使用が普及しているというのもあるかとは思います。






出て間もない歯は質が弱く、特に噛み合わせ部分の溝がむし歯になりやすい状況です。
出てから3年間くらいがリスクが高い時期と言えますが、そこを過ぎると、程ほどリスクが下がってくるので、その間シーラントで守るという理屈です。
当院では最初は、グラスアイオノマーというフッ素が徐々にリリースされる材料を使用して、シーラントをします。上写真の2個のボトルが粉と液で、これをミックスしたぺーストを使います。フッ素の働きで、初期むし歯までであれば元に戻るか、ストップできます。出始めの歯ほどフッ素の取り込みも良好なので、使用するかしないかでむし歯予防効果も大きいといえます。
グラスアイオノマーは、歴史的というか一般的なシーラントと比べて耐久性や歯との接着には劣りますが、接着のための歯の前処理が不要なので、出たばかりの歯に優しく、処置も簡単短時間でできます。この利点は評価できるものです。
シーラントは期間限定で歯を守るものですから、出てある程度の年限が過ぎれば通常は役割は終わり。磨り減ってもなくなっても、元々歯を削っているわけではありませんので、そのままでOKです。
グラスアイオノマーでシーラントを行ってある年限が過ぎた後、溝部分が深いとか、少し着色があってむし歯初期かも? という場合には、通常のレジンシーラントを使用して物理的に溝を浅くすることで、より長期間の予防をする方針です。その場合でも、酸を使った前処理材はどうも好みではありませんので、経費はかかりますが、レジン接着用でよりマイルドで接着良好な材料を使用しています。写真の真ん中がレジンシーラントが入ったシリンジ、右がレジン用接着剤です。
シーラントというとレジンシーラントと考える歯科がほとんどと思いますが、ちょっとこだわりがあって、長々と説明してしまいました。





上の前歯の裏側など、奥歯の溝にも負けないくらいのくぼみがあることがあります。歯の厚みが大きくシャベル型の歯といわれ、東洋人に特徴的な歯の形態です。歯磨きも難しい部分で、出て間もなくむし歯初期に移行することも珍しくありません。
そこで、光を当てて固めるグラスアイオノマーシーラントを応用しているところです。フッ素が徐々に出るというのは、かなり効果的です。





ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam

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