福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

乳歯の外傷の経過

2010-09-13 | 歯のけが

乳歯の外傷は圧倒的に上の前歯部分が多く、1歳後半から3歳くらいまでが多いようです。乳歯をぶつけた場合、歯が欠けたり折れたりよりもグラグラなったり位置がずれたりする場合が殆どです。グラグラがある程度大きい場合は、2週間~3週間くらい固定することで治ってきます。グラグラが小さい場合は、1週間ほどで自力で治りますのでそのまま経過を観ます。
経過を観るうえで大切なことは、適時にX線でのチェックをすることです。痛みとか腫れが無くても、じわっと外傷歯の周囲が悪くなってきていることがあるからです。外傷後に歯の神経血管が死んでしまうと、見た目にも歯の色が黒っぽくなってきますので、保護者の方にも認識できます。
ではそのような場合何か処置が必要かというと、根の先の部分に下の写真のように炎症像が見られる場合は、根の中の治療をしないと症状が進行して根が短くなってきたり、歯ぐきの腫れや歯のグラグラが再発してきます。そのような所見がない場合は、変色していてもそのまま経過観察で良いでしょう。


(左側から2番目の歯の根の先の部分が黒っぽく見えますね。これが炎症像です。)


一方で変色も無く神経は生きている思われる場合でも、次の写真のように、外傷による根面のダメージで根が細ったり短くなってしまう場合があります。最初の写真と違うのは、根が溶けた部分に周囲の骨が再生して置き換わっているところです。もちろんこのような像が無いほうが望ましいのですが、外傷の治り方の1パターンとも考えられますので、そのまま経過を観ます。
指しゃぶりを長期間している場合にも同様なことが起こって来ることがありますが、癖を続けていると根面に通常ではかからない力がかかりますので、根が溶けるのが進行性のものとなってしまいます。


(真ん中2本の乳歯の根が短くなってしまっていますが、歯を支える周囲の骨の状態は悪くありません。)


外傷で歯の神経血管が死んでいる場合、根の治療をしてもしなくても、永久歯が出てくるにしたがって乳歯の根がスムーズに溶けていくか、経過観察が重要です。






ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam/
                           http://www.futatsuki-dental.com/

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