福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

歯磨き剤のフッ素効果

2007-06-19 | フッ素について

日本歯科医師会雑誌という歯科医師会会員に月刊で配布される業界誌があります。最新号(6月号)の表紙タイトルに「フッ化物配合歯磨剤の現状と臨床応用」というのがありましたので早速読んでみました。
最近、大人の歯周病は予防だ治療だとメジャーになって来ていますが、虫歯予防というと何だか小学校位までのイメージが相変わらず強いように思います。青少年~大人は、むし歯は治療するものというモードが残っているようで、これは少なくとも日本の歯科業界の予防分野の遅れのように思います。
虫歯予防も一生続くわけで、日本歯科医師会雑誌にこのような記事が掲載されるのは、少しほっとする気持ちです。
以下、記事の内容のエッセンスです。
まず、日本市場でのフッ素入り歯磨剤の割合は89%まで高くなってきているそうです。このフッ素入り歯磨剤使用後の唾液中のフッ素濃度が一定以上であると、初期むし歯の再石灰化などを含め有意に予防効果が高まるのですが、歯磨き剤の使用量が少なすぎる、使用後にうがいをし過ぎることで効果が結構落ちてしまうという研究結果がいくつも報告されています。
この筆者は、上の前歯が出てきたらフッ素入り歯磨きの使用開始をすすめていますが、この時期はうがいが出来ず飲み込んでしまいますので、歯ブラシにちょんと乗せる程度の少量(0.06g位)が適切と述べています。年齢が上がるにつれてうがいもできるようになりますので徐々に量を増やし、成人で歯ブラシの毛の部分の長さの半分くらい(0.5g位)が適当と示しています。さらにうがいをする場合は少量の水で1~3回行うことをすすめています。
当院でも、「いつから歯磨剤を使ったら良いですか?」という質問をよく受けます。対応ですが、低年齢でむし歯リスクが高そうな場合は、早めに泡状やジェル状の家庭用フッ素製品(うがいを行わないタイプ)を歯磨き時に毎日少量ずつ使用するようすすめています。
また、2歳後半位から通常の子ども用フッ素入り歯磨き剤を使用するよう指導していますが、少量使用するかわり、あまりうがいをしないようにお話しています。


この歯磨剤の記事は、神奈川歯科大学口腔衛生学講座の荒川教授によるものです。歯磨剤使用量の調査では、一般の人に比べて歯学部学生のほうが使用量が少ないという結果が出ています。学生は教官の指導の影響を受けるわけですから、歯科業界はフッ素使用についてはいまいち認識不足とも言えるのでは?

コメント
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