福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

乳歯の外傷~ぶつけて埋まった場合~

2007-06-12 | 歯のけが
時期的に、春先から初夏にかけては活動的になるせいか子どもの外傷が多くなる季節です。当院もこのところ、歯をぶつけて急患来院する子ども達が増えている状況です。
乳歯、出て間もない永久歯、通常の永久歯では外傷のパターンが異なっており、乳歯では歯が折れるとか欠けるとかより、グラグラしたり場所がズレる確率が高くなります。歯の周囲の骨の固さなどによるのでしょう。
ズレるといった場合、単にグラグラしているより、埋まったり、飛び出して抜けかけている時のほうが当然重症です。グラグラが強くて本来の位置よりずれている場合には、整復固定といって、できるだけ元に位置に戻してから、外傷を受けた歯を隣の歯と繋げるようにして固定します。固定期間は通常2週間から1か月程です。
埋まっている場合、通常は少し対応が異なります。例えば歯の高さの半分位埋まっている場合、ダメージはあるのですが、歯はほとんどグラグラしていません。これを元の位置まで戻すとかえってグラグラしてきて固定する必要も出てきます。通常そのまま経過をみていると、次第に歯が出てくることが多いため、外傷部分の消毒や、抗生剤を飲んでもらうことはしますが、あえて整復固定はしません。
ちょっと知り合いの東京医科歯科大学小児歯科の宮新先生の臨床研究によると、外傷後15日までに68%、42日以内にすべて出始めて来て、8か月後までに完了したというデータがあります。ただし、歯が斜めの状態で埋まってしまった場合には出かたが思わしくなかったそうです。
また、歯が埋まったケースでは、3歳以上で外傷した場合に後から生えてくる永久歯にスポット的白斑などのエナメル形成不全が出る割合が増えたとのこと。この形成不全はぶつけた時点でのダメージによるものと考えられ、後の対処の仕方との関連性が見られませんので、残念ながら防止しようがありません。
埋まった歯が再度使えるようになるかという心配もまずあるのですが、その後の形成不全の可能性も忘れてはなりません。
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