『二度はゆけぬ町の地図』 西村賢太 ☆☆☆★
定期的に読みたくなる中毒性を持つ西村賢太の、まだ読んでいない文庫本を入手した。「貧窶の沼」「春は青いバスに乗って」「潰走」「腋臭風呂」の四篇が収録されている。薄っぺらい本なのであっという間に読み終えてしまった。今回は「秋恵もの」はなし。いずれも主人公は作者の分身たる北町寛多だが、「貧窶の沼」と「潰走」では「寛多は…」と三人称、「春は青いバスに乗 . . . 本文を読む
『EX MACHINA』 アレックス・ガーランド監督 ☆☆☆☆
iTunesのレンタルで鑑賞。きわめてスタイリッシュなハイテク・スリラーである。SFといってもいい内容だが、人工知能やロボットが現実化しつつある今日、この内容はSFというよりハイテク・スリラーという方がしっくり来る気がする。これに近いことを現在グーグルやマイクロソフトがやっていてもおかしくないからである。
そういう意味では . . . 本文を読む
『ラジオ・スターの悲劇』 バグルス ☆☆☆★
トレヴァー・ホーンとジェフ・ダウンズの二人組ユニット、バグルスが残した二枚のアルバムのうちの一つ。二枚目の『モダン・レコーディングの冒険』は事実上トレヴァー・ホーンの単独作業だったようなので、この『ラジオ・スターの悲劇』がユニットで制作した唯一のアルバムといっていいだろう。実際、バグルスの魅力であり本作を特徴づけている華やかなキーボード・ワーク . . . 本文を読む
『雁の寺』 川島雄三監督 ☆☆☆
若尾文子先生の主演作を何か見たくなり、日本版DVDを購入。1962年、モノクロ作品(一部カラーあり)。
要するに禅寺を舞台にしたサイコ・サスペンスものである。クライム・サスペンスと言っても間違いではないだろうが、警察の捜査が入る場面などはないので倒叙ミステリ的とはいえない。若尾文子は寺の和尚の愛人であり、和尚はとんでもないスケベ坊主。で、この寺で下男の . . . 本文を読む