第33回圓朝まつりが始まっていて、8月12日(土)に圓朝寄席を聴いて来た。谷中図書館へ行ったときに、ポスターを見て、全生庵で前売りを1000円で購入した。当日券より300円ほどお安い。
去年もここの寄席を聴いていた。本堂全部を使って舞台と客席を作る。6時開演で、5時半には会場に着いたが既に7割方の入り。開演時にはほぼ満員の300人くらいの聴衆か。昨年の経験で、座敷に長時間座るのが辛く、そこで自転車に積んで、折りたたみの椅子を持ち込んだ。これだと後ろの方に迷惑を掛けてしまうので、襖を背にして最後尾に席を取った。落語を聴くにはこれでも十分だった。
前座2人の後、好楽・鳳楽・円橘と真打が続いた。鳳楽と円橘の間が中入りで大福引があった。語りは毎年この3人で、登場順は年によってぐるぐる回っているらしい。3人とも5代目円楽の弟子である。
最初に登場の好楽がその間の事情を語ってくれた。その話から落語界の事情に疎い私でも幾つかの事情を知ることが出来た。
「鳳楽さんは円楽師匠の弟子だったが、私好楽は八代目林家正蔵の弟子で、円橘さんは三代目三遊亭小圓朝の弟子だった。師匠が亡くなり、結局、鳳楽に続いて好楽・円橘の順で先代円楽の弟子となった。4番目の直弟子の楽太郎が六代目を継いだ。世間ではそれはオカシイという話もあるが、1番目の鳳楽さんは“鳳(おおとり)”という一字を貰っていて、後に円生を名乗ればいいんじゃないの、とのこと。2番目の私と3番目の円橘さんは外から来た弟子。だから円楽師匠が『楽さんお前が円楽をやれ』となった」と。
私の隣に座った方と開演前から話し込んだ。名刺にはHさんとあった。落語通の方らしく、貰った名刺には“三遊亭鳳楽 大番頭”とあった。大番頭とは言わばファンクラブの会長らしい。40年来の鳳楽と付き合いという。これは落語に相当詳しい方と見て、各師匠の語りが終わる度に、演目を聞いた。好楽は「十徳」、鳳楽が「落語長屋」で、円橘が「三十石」とのことだった。皆円熟の語りで楽しく聴いた。
好楽のまくらは6代目円楽の悪口とも思えるものだが、落語家のそれはネタに使い本気ではないはず。「6代目円楽は私の後輩なんですが楽屋で威張ってるんです。先に笑点に出たからでしょうかね。私の64歳の7月の時にあいっはこう言った”兄さん、もうすぐ四捨五入すれば70歳ですね”と。64歳を四捨五入して70歳とは計算が出来ない。そう言うと”今じゃないですよ。来月になってからの話だよ”。私8月6日の生まれなんです。”しっかりして下さいよ、円楽会の会長なんだから”などと言われているうちに70歳になってしまった。四捨五入なんてしなくたって70歳になったよと言ったら、あいつ何んて言ったと思いますか。”兄さん、四捨五入すれば百歳だ”」。(写真は全生庵にある圓朝の墓)
円橘のまくらは有名な話だった。「アメリカ大統領がクリントンのとき、わが国森総理は英語が苦手ときているから、官僚が会話を2つだけ教えた。"How are you?"(ご機嫌いかが)に続く返答に"Me, too."とだけ言うようにアドバイスした。いざ会うや、総理上がってしまったのか"Who are you?"「あなたは誰?」 とやってしまった。大統領たるもの冗談が上手くないといけない。クリントンが"I'm Hillary's husband."(ヒラリーの夫です)と答えると、森首相はなんと"Me, too."と答えた(爆笑)」。この話は事実かどうか?元総理は事実無根と言っているそうな。
今回は、鳳楽師匠の話はブログから崩落しています。Hさん御免んなさい。