マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

『天地明察』を観る

2012年09月30日 | 映画・美術・芝居・落語

 9月26日(水)、シネ・リーブル池袋へ出掛け「天地明察」を観て来ました。沖方丁(うぶかたとう)作の同名の著作の映画化です。沖方丁はこの作品で、第31回吉川英治文学新人賞と第7回本屋大賞を受賞し、私はその映画化を待ち望んでいました。実に痛快な映画でした。主人公は囲碁・天文・数学・暦学の達人。私の趣味と重なる部分が多かった事もありますが・・・。

 映画は本よりドラマチックな展開を見せます。江戸時代の碁打ち安井算哲(後の渋川春海)が金王八幡宮に出掛け、絵馬の”遣題”(和算の問題)と格闘し、御城碁では本因坊道策と真剣勝負を争うところから幕が開きます。神社では後に妻となる”えん”と出会い、遣題を一瞥で解いてしまう"算聖”関孝和
(市川猿之助)とはすれ違います。
 幕府より天文観察を命じられた算哲は日本各地の観測の旅に出て、測量技術を習得します。その後、会津藩主保科正之(松本幸四郎)から”改暦の義”を拝命します。その時まで、八百年間使われてきた宣明暦は”日月の食”を正確に当てられなくなってきていました。幕府の中核担うメンバーからも改暦の必然性が認識され始めたのです。  




 ここから算哲の悪戦苦闘が始まります。
 漸く完成した大和暦。どちらの暦が正しいのか、現在使われている宣明暦に対し勝負を挑みます。今後起こる6回の”日月の食”をどちらが正確に当てるかという勝負です。大和暦は5連勝するも最後の日食勝負で敗れ、算哲の名は地に堕ちます。
 何故誤ったのかその原因が掴めずに苦悩する日々に、あの関孝和がヒントを呉れます。中国と日本とでは緯度が違うのです。漸くその事に気が付き再度完成した大和暦を朝廷に申請するも却下されます。
 
 そこで最後の戦いとしてゲリラ戦法に出ます。京都の町中での再度の”日食勝負”です。日食を予言した時刻を過ぎても日食は起こりません。又しても闘いに敗れ、切腹かと思った瞬間、太陽は欠け始めます。拍手喝さいを浴びせる観衆。感情移入した私も胸の内で大きな拍手。誰の眼にも明らかな”天地明察”が力となって、朝廷は大和暦を認めざるを得なくなり、この暦は後に貞享暦として採用され、長らくこの国の暦の基本となったのでした。

 物語の流れの中で登場するのが和算です。解けない問題を掲げてしまって苦悩する算哲。一見平凡に見え、明るく、おっちょこちょいな性格の算哲を岡田准一が演じ、宮崎あおい演じる勝気な性格の妻との会話がほのぼのとした雰囲気を醸しだします。
 読書だけでは想像が付かなかった実際の測量場面と測量機具を大きな興味をもって見る事が出来ました。
 更に、笹野高史・岸部一徳が隊長を演じる測量隊が、歩幅で距離を測地する為に、運動会の入場行進の様に行進する様がなんともユーモラスで、この映画に面白さを加味していました。

  


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