崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

国定教科書

2015年10月16日 05時49分36秒 | エッセイ

今韓国で歴史の教科書を国定にするということが話題になっている。日本の教科書が韓国で時々問題視されたが、韓国が北朝鮮のものを参考にして国定化することには多くの研究者たちが反対している。私は1979年平凡社発行の『月刊百科』(198:29、崔吉城訳p36~40)にヒーローの研究4李相回氏の文 「韓国の教科書にみるヒーロー像」を訳したことがある。ハワイ大学イースト・ウェスト・センターで1974年に行われたセミナーの発表記録(英語)から抄訳したものである。その後この元論文が韓国語で発表されたかどうかはわからない。軍事独裁政権の教科書を分析したものであり、この文書を参考にして博士論文を勧め、博士号を取得した人もいる。今国定にして何を狙っているのだろうか。
 李氏の原稿は韓国国民学校の1973年の国定教科書の国語、社会、修身、体育、理科、国民教育憲章の6科目を対象として、登場する人物を取り上げ、いくつかの考察を加えたものである。実際の人物(歴史上の人物と現存の人物)神話・伝説上の人物、フィクション(小説:戯曲)で創作された人物、出所不明の人物というように分類される。実際の人物が多い。韓国の人物は李舜臣、足長おじさん、ある兄弟、沈清、世宗大王、柳寛順、興夫、官昌、ある人、朴少尉であり、外国の人物はスクルージー、キュリー夫人、エジソン、ミレー、ある弁護士、ファーブル、アーネスト、ドン・キホーテ、ナイチンゲール、ベスタロッチ順である。彼らと国家との関係24、社会との関係3、個人との関係2、家族との関係3である。まとめて徳川家康や宮本武蔵のような人物がヒーローとして歓迎されているという。
 




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