崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

朝鮮学校の校長先生の話

2005年11月16日 22時38分58秒 | エッセイ
 私が担当する講義に下関の朝鮮学校の金鐘九先生をゲストスピーカーとして招いて話を聞いた。東亜大学2学年の学生20人ほどが熱心に聴いた。まず先生の話は日本のアジア植民地への思想的な基礎を作った吉田松陰、福沢諭吉の話から植民地時代の強制連行、そして自分の父が筑豊の労働者であり、自分はそこで生まれて朝鮮大学へ行き、現在に至るまでの話であった。
 日本人の差別は酷いものであり、朝鮮人は本名を名乗ることが出来ず通名の日本式の名前で生活しなければならなかった。ある人は本名を明かして、職を失った人もいる。つまり本名を知らせたくない人が多いのは、日本人の差別にある。現在在日朝鮮人たちはほぼ日本式の通名で生活するのが普通である。ある有名人も実は朝鮮人、本名は○○だとか次々に有名人の本名を挙げるたびに学生たちは驚く表情をしていた。現在もまだ日本人の差別はなくなっていない。学生たちは日常的に「在日」を意識して付き合ったことはないので、直接在日の方の話を聞けてよかったと感想を述べた。
 差別を知らなかった学生に差別を教えることになるかもしれないが、差別は知見や意識から始まらなければならないと考えて、このような機会に意識することは悪くないと思いお話を聞かせていただいた。私は差別を強く訴える人も差別する環境になると、やはり差別するかもしれないという思いがあるので、根本的なその心を基礎から見直すべきということを述べて、この時間を終えた。

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