崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「皆が天才」

2011年06月08日 05時38分51秒 | エッセイ
 週3科目の講義に全力を尽くしている。学生には入学時点での偏差値はZERO、皆が天才と宣言した。モチベーションを与え、勉強への刺激を与えると十分勉学効果をあげることができる経験を持っている。私はスパルタ式の方法はとらない。私語があった場合はそれを全員での話題として共有させる方法をとる。私の授業は10人ほどが一つのテーブルを囲んで自由な雰囲気で議論する方式である。知識注入式の方式は若干の説明以外はしない。日本人の学生たちはこのような授業方式にはなれておらず隣の学生と私語をし、集中しないこともあるが、だんだん慣れると思う。昨日紹介した本は私が丁度彼らの年、つまり大学1年生の時に先生と議論した本、Erich Fromm, Escape from Freedomであった。『自由からの逃避』の「逃避」とは何か、自由の価値を知らない人に自由を与えるとうまく成し遂げることができず暴力を招くという内容である。自由が放縦でないことを独裁国家の分析に使われた理論である。
 小さいな集まりでも自由と民主的な生活を学びあうことができる。その上、授業は楽しくあるべきである。入学の偏差値は無視して、卒業の偏差値は高い教育を目指している。学生たちの協力を呼びかけ、本当の「名門化」を図っている。

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3 コメント

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日本の人類学 (岩下慶次)
2011-06-08 15:18:13
先生と田中教授と山地教授の鼎談を読ませていただきました。僕なりの理解ですが、感想を書かせていただきます。
はじめに、「生まれた場所で皮膚や目の色が違うだけで、いったい俺たちの何がわかるんだ」僕の大好きな歌手の歌詞にあります。
イギリス人のラッフルズが植民地の英雄とされているというのを読んだとき、崔先生と同じくショックだった。すぐ日本を考えた。日本が植民地にしていた国で日本人が英雄視されている国はない。だから、90年代まで日本の植民地研究は遅れたのではないかと思います。
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Unknown (真鍋祐子)
2011-06-09 00:49:06
私は先生のそうした教育信念に救い上げていただいた者だと、ずっと感謝しています。入学時の偏差値や大学名で学生を切り捨てる先生だったら、突然押しかけていった無名の大学の学生を受け入れてはもらえなかったろうと思うからです。
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8月刊行予定 (崔吉城)
2011-06-09 06:35:48
 8月刊行予定『日本の人類学:植民地主義、異文化研究、学術調査の歴史』山路勝彦編著につき、京都大学の田中氏、山路氏との鼎談を読んでくれといったのに熱心に勉強するのを見て嬉しかった。シンガポールの例のようなとことが南アフリカでもあります。
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