崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「韓国語要らない」

2010年01月29日 05時55分04秒 | エッセイ
2005年からソウルに3年間住んだことのある東亜大学の松井尚子氏と長時間歓談をした。彼女は私の『恨の人類学』の訳者の真鍋祐子氏(東大教授)の高校の同級生である。二人とも韓国との縁が深い。
 松井氏がソウルでの生活で印象的だったことを語った。彼女は高校生の娘がいて、せっかく韓国に居住するチャンスなので娘に韓国語を覚えさせるために、家庭教師を頼むほど熱心であった。それを知った親しい韓国人の男性が韓国語を覚えるために努力する必要はないと言いながら英語を教えなさいと繰り返し強調したという。彼によると韓国では日本語を話す人も多い、韓国語を覚えるための努力の代わりに国際語である英語を教えるべきだと言ったという。その韓国人の男性は日本の女性と国際結婚をして裕福な人だと言う。
 ここでおそらく彼女に印象づけられたことは一般的に韓国人であれば韓国語に誇りをもって韓国語の学習を強調するはずであるのに、期待はずれの客観性を持った意見であったからであろう。国際感覚のある人だから国際結婚もしたのであろうと。しかし韓国人の口から「韓国語は要らない」は異様に聞こえたであろう。
 次に考えられるのはその韓国人男性が「英語至上主義」であることと韓国人の英語への熱心さであろう。英語ができると韓国ではもちろん世界的に出世の門が広く開かれるからである。小学校の低学年から海外で英語教育を受けさせる人が多く、韓国教育の基礎が揺れるということで教育省は抑制のための法令も作ったという。
 その男性は親しい人に将来のためによいアドバイスとして言ったようである。子供のバランスのとれた教育より出世主義のアドバイスであった。松井氏の日本人であることがよかったと改めて認識したという表情を見ると、彼の熱心なアドバイスは空念仏であったようである。

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2 コメント

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文中の韓国人男性という人 (朴正人)
2010-01-29 17:56:17
文中の韓国人男性という人、、
せっかく日本人が韓国語を習っているのならば
それを教えるのが筋であって、英語を習ったらとは? 相手に大変、失礼ですね。
英語をならうのは良くないといってるわけではなし、韓国が英語至上主義なのはわかるにしてもまずは話の筋というものがあるはず、、
これは相手にとってのアドバイスではなく、よけいなお世話というものです。反米だとか、英語習うのはけしからんというわけではないが、度が過ぎた卑しい、卑屈で後進的な事大主義もここまでくれば先進国では逆に馬鹿にされるのです。この男はどうして普通に韓国語を習ってくれてありがとうと普通に言えないのか?言えてこそ先進国なのでは?どうしてそのように卑屈なのか?恥ずかしい限りです。私自身、
別に極右でも国粋主義でもないけど、この男の
べったりとした盲目的な英語やアメリカに対する卑屈さが嫌いですね。



英語 (崔吉城)
2010-01-30 08:40:13
 英語だけで入試にそれほど有利とは思えないのに、学父系の熱心さは妄想かもしれません。

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