崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

許『帝国日本の植民地を歩く』

2020年08月15日 16時34分11秒 | エッセイ

 若手許氏の拙著への書評に感動します。短く紹介します。

 韓国と日本、東南アジアやシンガポール、アイルランド、南アフリカなどを行き来しながら植民地文化遺産を探求した老学者の熱情と特有の「中立的」視線は、韓国人も一度味わってみてほしい。 おすすめしたい。 
 「反日」文化や情緒の強い韓国が他の日本植民地であった台湾や戦争占領地であった東南アジア諸国の「親日」思考とは対比されるという。こんな違いはどこから来るのだろうか。戦後の抽象的な観念と視線の違いだろう。
  日本を非難し糾弾するが、果たして韓国は日本より道徳的に優れていると言えるだろうか。個性と多様性が批判的に照明されている。韓国人は官制的な教育やマスコミを通じて、一元的かつ道徳的な価値判断にだけで解釈している。
  旧朝鮮総督府庁舎破壊がこれを端的に示している。台湾やシンガポールでも植民地時代に築造された建築遺産について撤去論争があったが、世界文化遺産としての価値か、撤去して都市開発で得られる利益など様々な判断基準を設け、内部討論を通じて文化遺産の保存を決定したという。現代的価値に立脚してどちらが果たして成熟した態度だろうか。
 


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