崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

山路勝彦 「慰安婦の真実」を読み終えて

2017年12月02日 11時03分03秒 | エッセイ

崔吉城 先生

「慰安婦の真実」を読み終えて、あらためて呉善花「スカートの風」を読みなおしました。「帳場人」の日記という、第一級の資料を解読する作業は、読者から見ても、わくわくするものです。慰安婦と「強制連行」を結びつける論調は、確かに根拠がなく、「慰安所が民間人たちによって営業的に経営され」、「売春によって、巨額のお金が動いていた」(p.178)という指摘は、納得しました。儒教倫理から遠く隔たった人たちの姿が浮かんできます。自分としても、昭和15,16,17年頃に急激に台湾人の経営、台湾人の女給が増加したのに関心を持っているので、参考になります。芸妓やキーセン、遊郭文化は昔からあったとはいえ、おそらくこの時代、日本、韓国、台湾は同じように、西洋文化(と日本文化、あるいは大阪文化)の影響を受け、伝統的価値観が揺らぎ出し、この過程で慰安婦が軍隊を後ろ盾にして活動していったのか、と推測しています。モダンガールも慰安婦も、結局はコインの裏表の関係なのかもしれません。東アジア全体を視野に入れないと、全体像がつかめないと想いつつ、この1930年代という時代をもう少し整理する必要がありますが、自分にとっては、まだ文章化するには多くの時間と労力が必要です。老齢化が進み、まとめ切らず、つらいところです。

*この内容は「東亜大学での90分授業<東アジアのカフェー文化>を短文に圧縮しながら、本書を論評した」公開してよろしい。

山路勝彦

山路勝弘先生、コメント有難うございます。東アジア全体枠から共同研究をしたいです。お陰様で昨日重版になりました。崔吉城


スマートフォンとカンニング

2017年12月02日 06時29分42秒 | 講義

 クリスマスツリーの季節になり、クリスマス観光を授業とした。サンタクロースの赤い服についてクイズ式に話を進めた。キリスト教文化の商品化、コカコーラのCMからサンタクロースの色をイメージさせたりしようと思ったが、学生たちはスマートフォンでチェックして答えが漏れてい面白くなくなった。スマートフォンの使用をどうすべきか。将来スマートフォンのようなものを脳につなげて生きる時代が来るかもしれない。人間のロボット化時代を予測してしまい面白く、恐ろしく怖くなった。日馬富士がスマートフォンをいじる貴ノ岩に怒った暴行事件はスマートフォン文化への怒り、警告かも知れない。私はスマートフォンを辞書として授業中利用することを許容したが、それがカンニングの道具とも考えるようになり禁止すべきだと思うようになった。