父上が林兼造船所で務めたという地元の田辺正樹氏が新しく読書会のメンバーとして参加した。彼は自分の父親が使ったことのある下関市指定文化財の乾船渠(旧四建ドック)の保存の必要性を語った。それは私が散歩途中で見て汚れた水が溜まっていて危険な印象を持ったところである。1911年に内務省が海底の土砂をさらったり暗礁を取り除いたりした作業船を整備するドックとして作られたものだという。下関市は文化財委員会の諮問を受けてそのまま埋めて地上に駐車場を作ると発表した。それに彼は反対運動を展開しているという。
そこに倉光誠氏が韓国語の拙著への書評を言いながら何を文化財として保存すべきか基本的な問題点を出した。日本が作った旧朝鮮総督府庁舎は韓国が必要ではないから壊した。利用し、それ以上利用性がないものを捨てる。しかし捨てるべきではないという意見もある。ゴミという認識もさまざまである。ゴミといわれる物の中に生活し、市民に迷惑をかけているというニュースもあった。建築物として利用性のない原爆ドームを保存するのは何でだろう。世界遺産、文化財が氾濫している今日。本当に保存する理由は何だろうか。