崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「復讐するは我にあり」

2015年12月10日 05時31分41秒 | エッセイ
 昨日、10月78歳で亡くなられた直木賞作家・佐木隆三さんの「お別れの会」が小倉で行われたが、参加できず残念であった。JNNニュースによればファンら300人集まって、猛友の古川薫氏が弔辞を読み上げる様子を伺った。櫛田学長とご自宅へ二度ほどお訪ねし(写真)、談話し、一昨年11月には東亜大学で「復讐するは我にあり」と題して講演していただいた。当日は1時間以上も早く私の研究室に車椅子で来られてお話を楽しんで、講演は意外に短くなり、私がマイクを持って対話式にさらにお話しいただいたことを思い出す。
 我がマンションから関門海峡を挟んで真向い側の山の麓の森林の中にご自宅がある。多少交通は不便ではあるが門司港を見下ろせる景観が美しい。彼は刑事裁判の傍聴をもとに数々のノンフィクション小説を執筆し、主な主題は「復讐するは我にあり」である。私はそれに質問してみた。聖書の聖句を以て答えてくださった。それは作品にも引用されている。復讐対復讐は繰り返し、増幅し社会の存立を破壊してしまう。彼は今の世に向けて大きいメッセージを発信していた。御冥福を祈る。