崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

ユルム茶

2010年05月20日 06時31分19秒 | エッセイ
 ユルム茶は家内の好物である。私が韓国に行った時ある人がそれを覚えて何時間もかけて車で走ってきて届けてくれた。原料になるユルムとは稲科の一年草の植物である。東南アジアが栽培の発祥地で、韓国には中国から伝えられた薬用植物であり、食用・飼料用として栽培されている。新陳代謝を助ける作用をする。このユルム(鳩麦)茶は香ばしい風味がある。韓国には双和茶、高麗人参茶など漢方系のものが多い。しかし日本人からすると栄養食かお粥のように感ずるかも知れない。
 朝鮮半島には14世紀末儒教化され、仏教儀礼に使われる茶をなくしたのでお茶文化は消えてしまった。世界的に特にアジアでは韓国だけがお茶文化が欠如している。その空白にコーヒー文化が入って定着している。1960年代に私が文化財専門委員とした調査をしていた時に全羅南道のお寺の一か所でお茶でもてなしを受けた。その後韓国は日本の影響もあってお茶が多く開発されるようになった。今慶尚南道や全羅南道には茶畑が広く広がっている。
 伝統的に韓国人は客もてなすときマッコリという酒を出したていたが丁茶山氏はお茶を勧めたと聞いている。今ユルム茶で心身どもに健康になりそうな気がする。