崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

無理なハッピーエンディング

2008年12月20日 05時50分26秒 | エッセイ
 半年以上楽しんだ韓国のドラマが一つ終わった。その終わり方は最後の2回で急転換して意地悪な人や悪人が全員反省して善人となり、「その1年後」を入れて良い人間関係、幸せな家族になってハッピーエンディングになる。この2回で幼稚なドラマと感じ、楽しんだことが恥ずかしくなるほどである。「冬のソナタ」も数年後を設定して良い家族関係になり、恋人が再会するような無理な設定をしている。文学に少しでも知識があればこのような無理なハッピーエンディングは拙作であることを感ずるはずである。
 しかしその2回を除けば楽しいドラマだった。ラスト2回分を見ないことにする。完全な作品としてみる必要はない。人生もどの時点で終えるかによって喜劇にも悲劇にもなる。独裁者でも権力を振りながら死ぬこともある。人は結局は死ぬ。死を悲劇と設定すればみじめなエンディングであろう。死は「死でない」という宗教的な思考から設定すれば死も悲惨なことにはならない。ドラマではキャラクターの生き方に悲劇性、喜劇性がうまく描かれても良い。そのような質の高いドラマを見たい。