goo

連作「夏草」








夏草






夏草や夢の跡には夢ひとつ


夏草をめぐるいのちの月日かな


夏草に一本天をめざすあり


思ひ出を生くる儚さ白日傘


原爆忌終つてはじまる戦あり


夏の月深閑としてデモの空


夏の月宿らば宰に悲のこころ


草の木の海の光の原爆忌


大統領もとをただせば裸の子


手花火や闇懐かしき聲満ちて


かなかなや死者は戦を許すまじ


八月や空き地にのこる空ひとつ


墓参けんちゃん少尉二十歳


八月の終ることなく七十年


そこのひと南瓜を煮るもまつりごと


あつてなき生死の境踊の輪


白日傘ほのと微笑を浮かべをり


端居して風のやうなるひとの聲


動く葉は天の果てなり大夏木


風鈴やひたと旅する星の音












コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

一日一句(1294)







色替へて渋谷の地下は秋深む






コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )