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猿蓑:「鳶の羽も」の巻(34)


■旧暦12月16日、日曜日、、満月

(写真)無題

熱も下がったので、蒲団干し、洗濯、掃除、ゴミ捨てなど雑用。
漫画版で、漱石(1867-1916)の『思い出す事など』を読む。文庫版で何回か読んでいるが、漫画で読むと、また、違った味わいがあって、面白かった。以前の新潮文庫は、活字が小さいので、買い直して、また、読み始めている。「死」は、経験できないものであり、生と死には、完全に断絶があったと、修善寺の大患から回復した漱石は後に述べている。「死」は経験できない、というのは、ヴィトゲンシュタイン(1889-1951)も同じことを述べていて、興味深い。



『一生懸命フォトグラファー列伝』という本が、写真の参考になりそうな気配がある。19歳から100歳までのアマチュア写真家145名へのインタビュー集。



一構鞦つくる窓のはな   凡兆

枇杷の古葉に木芽もえたつ   史邦

■俳諧の凄さに、具体性があるけれど、挙句は、「枇杷の古葉」といい、「木の芽もえたつ」といい具体的な世界が明確に縁どられ、その縁取りの向うに、全体的な生命の気配が満ちている。

ここのところ、藤田省三先生の「『野ざらし紀行』についての覚書」(藤田省三著作集5所収)を読んでいる。大変勉強になり、また、共感もできるテキスト。このエッセイは、明らかに、存在論的な視点で書かれている。その点が凡百の国文学系テキストとは異なっている。これを読んで、「猿蓑」の検討を、ここでいったん中止して、野ざらし紀行の途次、名古屋で巻かれた、歌仙「冬の日」から、遡って検討し直すことにした。



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一日一句(619)








何事も無きがごとくに冬の月






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