前に民主党の国会議員だということで記事に書いてしまいましたが、大きな誤りでありました。
お詫びして訂正致します。
貸金業の上限金利問題~その15
この記事中、金子洋一氏のことを国会議員と書いてしまっていますが、議員ではなく「公認候補、支部長」ということでした。
私は以前のブログデザインから、てっきり民主党議員かと勘違いをしてしまいました。失礼しました。gooブログのリンク表示も、上記記事の通りに「民主党三重5区 金子洋一」となっていますからね。勘違いは私の責任なのですが、議員さんと間違えるのは有り得るのではなかろうか、と思ったりします。
ついでに申し上げますと、金子氏はブログを変えた(スパム対策だそうです)為に、私の記事のリンクは切れていました。全く気付きませんでした。でも、田中先生の記事中に登場しているのを拝見し、ああっ、「あの金子洋一さんだ」と思い出した次第です。で、ついうっかりリンク先を見ると、金子氏のブログに行き当たりました。未だに、上限金利引下げの反対運動を絶賛展開中でした。とても元気なご様子で、何よりでした。
「サラ金」の貸出上限金利引き下げでヤミ金横行 金子洋一「エコノミスト・ブログ」
因みに、エコノミストを自称されているのは前回記事と同様でした。詩人とか、芸術家とか、評論家とか、自称することに制限のないものは多いので、エコノミストというのもそうした呼称の一つかもしれません。一般庶民の立場で疑問を述べますと、エコノミストとは何をしているとそれが名乗れるのか、誰が認めるとエコノミストを名乗ることが許されるのか、といったことがあります。特に決まりはなく誰でも名乗れるんだよ、ということであれば、それはそれでよろしいのですが、占い師とかスピリチュアル○○とかみたいなのを自称するのと区別がつきにくいかもしれません。
金子氏の記事を以下に引用します(引用部はリンゴ間の部分)。
私は、もともと貸金業全体の上限金利引き下げには反対です。その理由は、貸出金利は、いわばお金を貸し出すことに対する価格のようなもので、これを法律でむりやり引き下げるということは、いわば一般の商品に価格統制を行うようなもので望ましくないからです。この件でいえば、融資を申し込んでも、法律で無理矢理引き下げられた金利で貸し出すためには、業者からみてリスクがありすぎて断られる人が多くなるからでした。このあたりについては、「貸金業の上限金利引き下げに疑問あり」をお読みください。
「リスクがありすぎて断られる人が多くなるから」というのは、米国のサブプライムローン問題でも似ていますね。有担保貸しなのですが、リスクがあっても借りたい人に貸した結果どうなったかと言うと、「貸し手破綻」だ。いや、別に金利に上限なんてなくても、いいんですよ、本来的には。借り手も貸し手も正しく判断できていれば、それも可能でしょうね。しかし、貸し手には借り手のリスクについて見分けることができない部分があって、それ故「キリギリス」タイプに貸し込んできたわけで。見分けがつけられなければ、金利が低下すれば借りられる人は多くなるでしょう。貸倒率が高い人たちに特化して貸し出す専業の貸し手がいても、それは借り手を食い潰していくだけのビジネスってことだわな。
上限がないとして、貸出金利が40%の業者であれば、年間貸倒率が20%でも利益が出すことは可能。全員同じ額(例えば50万円)を一様に貸し出すと、毎年1万人の債務者がいれば2000人が破産する。これを毎年補充し続けないと「貸出金利40%市場」は維持できない。40%という提示金利以下のリスクの人は本来借りない、ということだからね。100万人の市場規模(貸出残高5千億円)だとして、毎年20万人が破産する「貸出金利40%市場」(貸倒額1千億円)に新規参入してくる人たちが果たして20万人もいるのかな?新規参入者が少なければ、この「貸出金利40%市場」というのはいずれ消滅するだろう。貸出残高が維持できないからね。なので、上限がないとしても、貸倒率がある程度以上に高い市場というのは持続できない。
借り手をディスポで潰していけるのは、ヤミ金みたいなビジネスの場合だけってこと。それは少数者だけを相手にして、持続しなくても今の利益だけあればいいからだ。なので貸し手責任となって貸し手側が破綻することはない。だからこそ、高金利で利潤を生み出せるんだよ。普通の貸し手ならば、貸出金利100%の提示金利で応募してくる借り手の殆どが破産(を選択)することになり、貸した方が大きく損をするから貸せないだけだ。継続して返せるなら、貸倒率はもっと低いだけで、貸出金利は高すぎる、ってことだしね。有り得るのは、超短期貸出みたいな特別な場合だけだろう。超短期貸出市場というのは、基本的に債務は残らないので、借入&完済を繰り返すだけ。なので多重債務には無関係のはずですが、そんなまともな市場なんてのは、とても少ないのでしょうね。日賦貸し市場が健全であったなら、存続させるに値する、という結論になったかもしれませんが、そうはならなかったみたいですから。
価格統制について文句を並べているが、貸金だけじゃなく、電気料金、タクシー運賃や医薬品なんかの「公定価格」というものについて、撤廃せよ、という大規模運動でもやったらいかがでしょうか?(笑)
闇市場があるのは規制のせいだから撤廃せよ、という経済学信奉者たちは存在しますから、日本でも「チーズは解禁すべし」」「向精神薬も、大麻も、麻薬も解禁せよ」「薬物の価格統制に断固反対!自由価格にせよ」みたいに運動することをお勧めします。
さすがエコノミストを自称しているだけあって、経済学っぽい理屈を並べているのですが、まともな反論もできない程度のニセ理論なのではないかと訝しく思っています。もしも金子氏が本物のエコノミストであるなら、多分経済学の論理に基づいて容易に回答できうるものであろうと思いますので、是非ご教授下さればと思います。
続けます。
この意見を昨年の5月にブログに書いた当時は、すぐに私に対する批判が殺到し、「サラ金の犬」、「非国民」等々の非難を浴びました。私は気にもとめませんでしたが、客観的にみればまさに炎上という状態だったのかもしれません。(その後、スパム対策でブログを換えたので、当時の模様は残念ながら残っていません。)当時、世間には、上限金利を引き下げれば多重債務問題も解決するといった論理的根拠に乏しい情緒的議論が横行し、上限金利の引き下げに反対するものはほとんどおりませんでした。しかしその後をみれば、当時の私の懸念があたってしまったようです。
《昨年12月の貸金業規制法改正で、貸金業者の金利引き下げが進む一方で、福岡県消費生活センターには多重債務者からの相談が逆に増えている。今年4~7月で469件にのぼり、過去最多だった昨年度(1153件)を2割ほど上回るペース。(中略)県によると、多重債務者からの相談は「借金苦」を訴える内容が大半で、「これまで借りていた大手業者から融資を断られ、ヤミ金に手を出した」という事例が増えている。》
(貸金大手金利下げたらヤミ金相談増加…“灰色”撤廃、審査厳格化で: YOMIURI ONLINE(読売新聞))
この他にも、融資の審査厳格化が原因で倒産件数が増えたのではないかといった報道は多数あります。
やはり、貸出の上限金利の引き下げは行うべきではありませんでした。結局、合法的な業者からの借り入れができなかった人々は、倒産する、あるいは、ヤミ金に手を出すことになってしまいます。この責任はもちろんこの議論を推し進めた人々にあります。
「サラ金の犬」というコメントがあったとは知りませんでしたが、私が記事の存在を知ったのは9月でしたので、ネット上でも大して注目もされていなかった記事なのではないかと思えますが、どうなんでしょうか。私が池田氏の記事に疑問を呈した後で、エコノミスト金子氏は池田ブログにコメントを書いておられたようですね、そういえば(記憶は曖昧、ま、これはどうでもいいか)。例の懇談会の中間報告で引下げ方向へと傾いていたのは3~4月頃だったと思いますけれども、この頃にはエコノミスト金子氏が指摘しているような、「世間には、上限金利を引き下げれば多重債務問題も解決するといった論理的根拠に乏しい情緒的議論が横行」していたようには思われなかったのですが、どの辺を指して「世間」とか言っているのか教えて頂ければと思いますね。「論理的根拠に乏しい情緒的議論」の代表例などを具体的に挙げて頂ければ、私のような経済学すら知らない愚か者にも理解できます。一体誰がそんなことを言っていたのか?世間というからには、かなりメジャーなんでしょう。記事が5月30日なのですから、恐らくそれ以前から「世間に横行していた」ということなのでしょう。もしかして、「みのもんた」さんですか?みのさんだって、怒ってたのは9月頃だったのではないかと思いますけど?(笑)
一応当時の空気(笑)を少しお伝えする為に書いておきます。
民主党公認候補なのに、ニュースになった国会答弁も知らないのかと思わないでもありませんが、06年5月18日の国会答弁において、小泉総理は「グレーゾーン金利の撤廃について法律で決めるとヤミ金融が蔓延る。貸す方も悪いが借りる方も悪い。どういう影響が出るか、十分考えなければならない」と言ってたようです。最高責任者にして時の権力者である総理が、引下げには同調していなかったのですから(勿論竹中平蔵氏も)、エコノミスト金子氏が「世間全部を敵に回して、たった1人で上限引下げ論に反対していた」みたいに自慢されても、「それってどうよ?」と思わないではありません。
私も「見えない敵」と戦ってきたので(どこにいる?)、似たような主張をしているんですけれどね(笑)。一応、具体的に「反対の立場の人たち」を挙げてはいますけど。
エコノミスト金子氏が記事に引用している「法務の国のろじゃあ」さんの記事とか、そこにもTBしているbewaad氏とか、木村剛氏、磯崎氏、47th氏…その他モロモロなどの方々は引下げは反対の立場であった(5月時点で、後に池田信夫氏が参加)のですから、彼らの主張をエコノミスト金子氏が知らなかったとしても、世間はみんなで無理矢理引下げという情緒的議論をしていたのか、ちょっと疑問ですね。そう思わせた理由というものはあるはずなので、それを知りたいところです。ひょっとして、コメント欄に「サラ金の犬」などと書き込んだ人々が「世間一般」だと思ったのでしょうか?これって、よくありがちな???の論法に似てなくもないですね。
「審査厳格化の結果、ヤミ金被害が増加」とか、「審査厳格化の結果、倒産件数が増えたのではないかといった報道が多数」という主張をエコノミスト金子氏が信じているのはしょうがないでしょうね。これも散々書いてきましたけれど(個人事業者の倒産は誰のせい?、今年上半期、ヤミ金摘発急増!)。大体データを見たりしないで、「審査厳格化の結果」みたいな判りもしない原因を断定的に書くか、「報道が多数」あるということを証拠に挙げる連中というのは後を絶たないわけで。どうやらエコノミスト金子氏は、「報道が多数あった、記事に書いてあった」ことを挙げていれば、「論理的根拠に乏しい情緒的議論」ではないと確信しているようです。
そもそもキリギリスにはカウンセリングが一番必要なのだから、相談件数が増えることは「いいこと」なんじゃないの?
貸倒率を下げるには、審査を厳しくするとか貸出額が絞られる
→相談件数増える、過払い返還額増える
で、苦しんでいた借り手にとっては日の当たる場所に出られるから、良かったことの方が多いかもしれませんよ?闇に潜って餌食にされるよりは、百万倍マシだ。ヤミ金被害に遭わないようにするには、借り手が合法業者をはっきりと見分けられることで、それ以外は「危険な貸し手」であり借りるのは損なだけ、ということが知られていればいいのですよ。多重債務者の資金供給が止まれば、借りにいくより相談に来てもらう方がよい、というのは当たり前。これまで被害に遭っていても、相談にも行けなかった人々が表に登場してきただけなのであれば、新たな被害者が増加しているとも言えんでしょう。
長くなったので、続きは次の記事で。
お詫びして訂正致します。
貸金業の上限金利問題~その15
この記事中、金子洋一氏のことを国会議員と書いてしまっていますが、議員ではなく「公認候補、支部長」ということでした。
私は以前のブログデザインから、てっきり民主党議員かと勘違いをしてしまいました。失礼しました。gooブログのリンク表示も、上記記事の通りに「民主党三重5区 金子洋一」となっていますからね。勘違いは私の責任なのですが、議員さんと間違えるのは有り得るのではなかろうか、と思ったりします。
ついでに申し上げますと、金子氏はブログを変えた(スパム対策だそうです)為に、私の記事のリンクは切れていました。全く気付きませんでした。でも、田中先生の記事中に登場しているのを拝見し、ああっ、「あの金子洋一さんだ」と思い出した次第です。で、ついうっかりリンク先を見ると、金子氏のブログに行き当たりました。未だに、上限金利引下げの反対運動を絶賛展開中でした。とても元気なご様子で、何よりでした。
「サラ金」の貸出上限金利引き下げでヤミ金横行 金子洋一「エコノミスト・ブログ」
因みに、エコノミストを自称されているのは前回記事と同様でした。詩人とか、芸術家とか、評論家とか、自称することに制限のないものは多いので、エコノミストというのもそうした呼称の一つかもしれません。一般庶民の立場で疑問を述べますと、エコノミストとは何をしているとそれが名乗れるのか、誰が認めるとエコノミストを名乗ることが許されるのか、といったことがあります。特に決まりはなく誰でも名乗れるんだよ、ということであれば、それはそれでよろしいのですが、占い師とかスピリチュアル○○とかみたいなのを自称するのと区別がつきにくいかもしれません。
金子氏の記事を以下に引用します(引用部はリンゴ間の部分)。
私は、もともと貸金業全体の上限金利引き下げには反対です。その理由は、貸出金利は、いわばお金を貸し出すことに対する価格のようなもので、これを法律でむりやり引き下げるということは、いわば一般の商品に価格統制を行うようなもので望ましくないからです。この件でいえば、融資を申し込んでも、法律で無理矢理引き下げられた金利で貸し出すためには、業者からみてリスクがありすぎて断られる人が多くなるからでした。このあたりについては、「貸金業の上限金利引き下げに疑問あり」をお読みください。
「リスクがありすぎて断られる人が多くなるから」というのは、米国のサブプライムローン問題でも似ていますね。有担保貸しなのですが、リスクがあっても借りたい人に貸した結果どうなったかと言うと、「貸し手破綻」だ。いや、別に金利に上限なんてなくても、いいんですよ、本来的には。借り手も貸し手も正しく判断できていれば、それも可能でしょうね。しかし、貸し手には借り手のリスクについて見分けることができない部分があって、それ故「キリギリス」タイプに貸し込んできたわけで。見分けがつけられなければ、金利が低下すれば借りられる人は多くなるでしょう。貸倒率が高い人たちに特化して貸し出す専業の貸し手がいても、それは借り手を食い潰していくだけのビジネスってことだわな。
上限がないとして、貸出金利が40%の業者であれば、年間貸倒率が20%でも利益が出すことは可能。全員同じ額(例えば50万円)を一様に貸し出すと、毎年1万人の債務者がいれば2000人が破産する。これを毎年補充し続けないと「貸出金利40%市場」は維持できない。40%という提示金利以下のリスクの人は本来借りない、ということだからね。100万人の市場規模(貸出残高5千億円)だとして、毎年20万人が破産する「貸出金利40%市場」(貸倒額1千億円)に新規参入してくる人たちが果たして20万人もいるのかな?新規参入者が少なければ、この「貸出金利40%市場」というのはいずれ消滅するだろう。貸出残高が維持できないからね。なので、上限がないとしても、貸倒率がある程度以上に高い市場というのは持続できない。
借り手をディスポで潰していけるのは、ヤミ金みたいなビジネスの場合だけってこと。それは少数者だけを相手にして、持続しなくても今の利益だけあればいいからだ。なので貸し手責任となって貸し手側が破綻することはない。だからこそ、高金利で利潤を生み出せるんだよ。普通の貸し手ならば、貸出金利100%の提示金利で応募してくる借り手の殆どが破産(を選択)することになり、貸した方が大きく損をするから貸せないだけだ。継続して返せるなら、貸倒率はもっと低いだけで、貸出金利は高すぎる、ってことだしね。有り得るのは、超短期貸出みたいな特別な場合だけだろう。超短期貸出市場というのは、基本的に債務は残らないので、借入&完済を繰り返すだけ。なので多重債務には無関係のはずですが、そんなまともな市場なんてのは、とても少ないのでしょうね。日賦貸し市場が健全であったなら、存続させるに値する、という結論になったかもしれませんが、そうはならなかったみたいですから。
価格統制について文句を並べているが、貸金だけじゃなく、電気料金、タクシー運賃や医薬品なんかの「公定価格」というものについて、撤廃せよ、という大規模運動でもやったらいかがでしょうか?(笑)
闇市場があるのは規制のせいだから撤廃せよ、という経済学信奉者たちは存在しますから、日本でも「チーズは解禁すべし」」「向精神薬も、大麻も、麻薬も解禁せよ」「薬物の価格統制に断固反対!自由価格にせよ」みたいに運動することをお勧めします。
さすがエコノミストを自称しているだけあって、経済学っぽい理屈を並べているのですが、まともな反論もできない程度のニセ理論なのではないかと訝しく思っています。もしも金子氏が本物のエコノミストであるなら、多分経済学の論理に基づいて容易に回答できうるものであろうと思いますので、是非ご教授下さればと思います。
続けます。
この意見を昨年の5月にブログに書いた当時は、すぐに私に対する批判が殺到し、「サラ金の犬」、「非国民」等々の非難を浴びました。私は気にもとめませんでしたが、客観的にみればまさに炎上という状態だったのかもしれません。(その後、スパム対策でブログを換えたので、当時の模様は残念ながら残っていません。)当時、世間には、上限金利を引き下げれば多重債務問題も解決するといった論理的根拠に乏しい情緒的議論が横行し、上限金利の引き下げに反対するものはほとんどおりませんでした。しかしその後をみれば、当時の私の懸念があたってしまったようです。
《昨年12月の貸金業規制法改正で、貸金業者の金利引き下げが進む一方で、福岡県消費生活センターには多重債務者からの相談が逆に増えている。今年4~7月で469件にのぼり、過去最多だった昨年度(1153件)を2割ほど上回るペース。(中略)県によると、多重債務者からの相談は「借金苦」を訴える内容が大半で、「これまで借りていた大手業者から融資を断られ、ヤミ金に手を出した」という事例が増えている。》
(貸金大手金利下げたらヤミ金相談増加…“灰色”撤廃、審査厳格化で: YOMIURI ONLINE(読売新聞))
この他にも、融資の審査厳格化が原因で倒産件数が増えたのではないかといった報道は多数あります。
やはり、貸出の上限金利の引き下げは行うべきではありませんでした。結局、合法的な業者からの借り入れができなかった人々は、倒産する、あるいは、ヤミ金に手を出すことになってしまいます。この責任はもちろんこの議論を推し進めた人々にあります。
「サラ金の犬」というコメントがあったとは知りませんでしたが、私が記事の存在を知ったのは9月でしたので、ネット上でも大して注目もされていなかった記事なのではないかと思えますが、どうなんでしょうか。私が池田氏の記事に疑問を呈した後で、エコノミスト金子氏は池田ブログにコメントを書いておられたようですね、そういえば(記憶は曖昧、ま、これはどうでもいいか)。例の懇談会の中間報告で引下げ方向へと傾いていたのは3~4月頃だったと思いますけれども、この頃にはエコノミスト金子氏が指摘しているような、「世間には、上限金利を引き下げれば多重債務問題も解決するといった論理的根拠に乏しい情緒的議論が横行」していたようには思われなかったのですが、どの辺を指して「世間」とか言っているのか教えて頂ければと思いますね。「論理的根拠に乏しい情緒的議論」の代表例などを具体的に挙げて頂ければ、私のような経済学すら知らない愚か者にも理解できます。一体誰がそんなことを言っていたのか?世間というからには、かなりメジャーなんでしょう。記事が5月30日なのですから、恐らくそれ以前から「世間に横行していた」ということなのでしょう。もしかして、「みのもんた」さんですか?みのさんだって、怒ってたのは9月頃だったのではないかと思いますけど?(笑)
一応当時の空気(笑)を少しお伝えする為に書いておきます。
民主党公認候補なのに、ニュースになった国会答弁も知らないのかと思わないでもありませんが、06年5月18日の国会答弁において、小泉総理は「グレーゾーン金利の撤廃について法律で決めるとヤミ金融が蔓延る。貸す方も悪いが借りる方も悪い。どういう影響が出るか、十分考えなければならない」と言ってたようです。最高責任者にして時の権力者である総理が、引下げには同調していなかったのですから(勿論竹中平蔵氏も)、エコノミスト金子氏が「世間全部を敵に回して、たった1人で上限引下げ論に反対していた」みたいに自慢されても、「それってどうよ?」と思わないではありません。
私も「見えない敵」と戦ってきたので(どこにいる?)、似たような主張をしているんですけれどね(笑)。一応、具体的に「反対の立場の人たち」を挙げてはいますけど。
エコノミスト金子氏が記事に引用している「法務の国のろじゃあ」さんの記事とか、そこにもTBしているbewaad氏とか、木村剛氏、磯崎氏、47th氏…その他モロモロなどの方々は引下げは反対の立場であった(5月時点で、後に池田信夫氏が参加)のですから、彼らの主張をエコノミスト金子氏が知らなかったとしても、世間はみんなで無理矢理引下げという情緒的議論をしていたのか、ちょっと疑問ですね。そう思わせた理由というものはあるはずなので、それを知りたいところです。ひょっとして、コメント欄に「サラ金の犬」などと書き込んだ人々が「世間一般」だと思ったのでしょうか?これって、よくありがちな???の論法に似てなくもないですね。
「審査厳格化の結果、ヤミ金被害が増加」とか、「審査厳格化の結果、倒産件数が増えたのではないかといった報道が多数」という主張をエコノミスト金子氏が信じているのはしょうがないでしょうね。これも散々書いてきましたけれど(個人事業者の倒産は誰のせい?、今年上半期、ヤミ金摘発急増!)。大体データを見たりしないで、「審査厳格化の結果」みたいな判りもしない原因を断定的に書くか、「報道が多数」あるということを証拠に挙げる連中というのは後を絶たないわけで。どうやらエコノミスト金子氏は、「報道が多数あった、記事に書いてあった」ことを挙げていれば、「論理的根拠に乏しい情緒的議論」ではないと確信しているようです。
そもそもキリギリスにはカウンセリングが一番必要なのだから、相談件数が増えることは「いいこと」なんじゃないの?
貸倒率を下げるには、審査を厳しくするとか貸出額が絞られる
→相談件数増える、過払い返還額増える
で、苦しんでいた借り手にとっては日の当たる場所に出られるから、良かったことの方が多いかもしれませんよ?闇に潜って餌食にされるよりは、百万倍マシだ。ヤミ金被害に遭わないようにするには、借り手が合法業者をはっきりと見分けられることで、それ以外は「危険な貸し手」であり借りるのは損なだけ、ということが知られていればいいのですよ。多重債務者の資金供給が止まれば、借りにいくより相談に来てもらう方がよい、というのは当たり前。これまで被害に遭っていても、相談にも行けなかった人々が表に登場してきただけなのであれば、新たな被害者が増加しているとも言えんでしょう。
長くなったので、続きは次の記事で。