いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

オール人力狙撃システム試作機

こんな所にも「教科書命」が…

2007年02月19日 09時58分28秒 | 俺のそれ
坂本多聞のソフトウェア業界インサイドアウト

教科書の教えは大事だ。それはそうだよ。一般的な説明としても、必要だ。だが、何が書いてあるか、その考える道筋はどいうなっているか、ということへの理解は、また別だ。私自身経済学素人に過ぎないが、この解説は見当ハズレであることは直ぐに判る。

たこ焼き屋さんを持ってきているのはいいが、全然違う話をしている。

『たこ焼き屋さんの6人目の従事者として時給119円を切る金額で働かないか?と言われてそれを受け入れるか?だ。
(中略)
街のたこ焼き屋さんで雇われるということだと多分これを飲む人はあまり居ないだろう。しかし学園祭の係りとかだったら報酬ゼロでもうけたりするので、やたら人が居るにぎやかな屋台とかができたりする。』

ハァ?(笑)

なんでたこ焼き屋で6人目を時給119円で雇う必要性があんの?坂本氏は脚光を浴びたいとか、アクセス稼ぎとか、何かそういう別な目的でもあるのでしょうか?ちょっとよく判りませんが、どうしてこのような喩えを持ち出すのでしょうか。理解不能です。一体全体何を批判したいのか判りません。

また例で考えてみましょう。
このたこ焼き屋さんでの売上数量は「需給で決まり」ます。従って、たこ焼き100個の需要があれば、その売上以上にはなりません。坂本氏の言ってるのは、新たに生まれる利益が増えつつも、段々と減っていくという話をしていますが、それは違います。一定期間での需給が均衡するという仮定に立てば、それ以上の需要は発生しないのですよ、経済学理論では(笑)。需要をとりあえず100個としましょうか。たこ焼き職人が、この期間に一人で100個焼いて売れるならそれ以上の人員を雇うことはありません。そんな必要性は存在しないからです。例えば、「たこ焼き職人」の基本性能として、期間当たり1人だと30個焼いて売ることができるとして、2人なら70個、3人なら100個、みたいなのが限界原理のお話だと思うのですが。

しかし、坂本氏が勘違いをしているのは、敢えて5人とか6人とかを雇い入れて、わざわざ分担しているのですよ(笑)。5人だと120個売上、6人だと150個とか、そういう想定をしているのだろうと思いますね。意図的に賃金を分割して減らしているのです。そんなたこ焼き屋の経営者はいませんって(笑)。

たこ焼きの価格が1個50円として、この中にはコストの全てと利益が乗っています。需給で必要な量が決まるのですから、100個の需要であるなら5000円の売上ということになります(利益がないとか赤字なら撤退する)。この時の賃金は5000円という売上からほぼ必然的に決まってくる、ということなんですよ。3人分で3000円ならば一人当たり1000円、ということです。しかし、ここで問題となるのは、日本のたこ焼き職人ではなくて、賃金が100円でもできるという国もあります、ということであるなら、「競争が不十分で不当に賃金が高いのではないか」、すなわちたこ焼きの価格も高すぎるのではないか、ということなんですよ。経済学理論のように、時間も空間も関係なく移動できる世界みたいなのだと、日本にいながらにして外国の貧乏な農村地帯にあるたこ焼き屋台からたこ焼きが即買えるし、買ったたこ焼きは瞬間移動してきて購入者の口にすぐに飛び込んでくるのです。これは仮想の理論世界であるから可能なだけで、現実にはこんなことは起こらないのです。競争が不十分というのは、こういう異次元空間みたいなところから飛んでくるたこ焼きと競合しなさい、ということなんですよ。これが可能であるならば、最もコストのかからない地点で焼いたたこ焼きを誰でも常時買うことができるので、それ以外の業者は全て淘汰されるでしょう、と言う話です。「1個5円で売ってる国もあるぞ」、だから日本のたこ焼きは高すぎる=賃金が高すぎるからだ、という話なんですよ(池田氏の批判は概ねそういうことです)。何で賃金が高いのか、と言えば、日本の他の業種(製造業みたいな)で賃金が高いからだろう、ということを山形氏らは言ってるんですよ。


坂本氏の理論の適用方法は、間違っていると思う。理論の字面のみを、取り出してくるからだろうと思う。

これぞまさしく、「エネルギー保存の法則は成り立つ。位置エネルギーは運動エネルギーに変換される。故に高高度から落下してくる雨滴に頭をぶち抜かれる」の典型みたいなものか?




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。