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ドンキホーテ社員の悲劇

2004年12月26日 18時44分20秒 | 社会全般
前の記事(記者会見場から退場?)にコメントを頂いたのと、TB頂いた記事を読んだので、問題点を整理してみたい。

現在議論となっていることは、ドンキ社員(以下単に社員と呼ぶ)への対応と、そこから離れて記者会見や記者クラブの意義(若しくは弊害)、行政と報道機関との関係まで広がっている。そのような問題を検討する前に、今回の問題についてある程度の共通認識が必要ではないかと思う。

私がこの出来事を知ったのはあくまで伝聞形式であり、ブログの記事やネット上の報道等の情報のみであるので、正確な情報ではない可能性があるが、概ね正しいと考えている。

事実確認

1)記者会見は消防当局が報道関係者のみを集めて行う意図のものであった
2)事前に「報道関係者以外はいませんか」と当局は確認していた
3)当局は6月に行われた立入検査についての説明をするという趣旨で会見を開いた
4)社員は当該会場内に所属を偽り存在していたが、会場の進行に妨害等の行為はなく、他人に特段の迷惑をかけたわけではない
5)周囲にいた報道関係者が社員に詰問し、所属を明らかにさせた上、他の(火災に関する、或いは本社の)幾つかの質問を浴びせた
6)所有していたメモ破棄、録音消去などを行わせた(当局職員が直接行ったのか、報道関係者が当局に提出したかは不明)
7)社員は本人の意思に反して会場から強制的に退出させられた

疑問点について考えてみます。

a)記者発表は一般的に「一般大衆」への情報提供を目的としているのか

記者発表の目的は、行政側が国民に対して報道機関を通じて情報を提供することを目的としていると私は思っている。行政側が報道機関からの追及や批判の場を目的に設けているなどの他の目的は考えにくい。従って行政側が発表する内容は「一般大衆」である国民が知ることを許容していると考えられ、報道機関が知ることと国民が知ることの違いは存在しない。特別な事件の捜査情報等で重大な損失が考慮されるとか、報道することによって人権を著しく損ねたり公共の利益に反するような情報は、当然選別される必要があると思う。現実にはそのように行われているのではないかと思うが。

このような情報を当事者が聞いていたとしても本来何ら問題がないように思う。行政側が報道関係者にのみ明かしてよい情報提供を行い、一般大衆には提供できない情報を記者会見で発表するのであろうか。勿論、会場に入る時に社員が所属を偽って入り込んだことは非難されるべきと思うが、入場資格が厳密に制限されているような結婚式、パーティ会場や個人的発表会等に潜入していたわけではない。主催者(行政)側が2)のように確認を行ったのは、情報提供に際し効率的かつ運営に支障を来たさない程度に入場に制限を設けたものと思われ、社員がその場に存在することを法的に許容しないという性質の問題ではないように思います。


b)消防当局が行った3)の立入検査は何に該当するか

一般的にみて行政指導に該当するのではないかと思い、前の記事を書いてみたが、当局の正式発表を知っているわけではないので、その場にいた報道関係者ならば質問したか、おそらくすでに知っているのであろう。
もしも、行政指導ではなく、消防法第4条及び5条の規定に基づいて行った処分・命令であるとしたら、改善措置等の命令について公示しなけらばならないことになっています。この為当局の発表内容に差があることなどあり得ず、これについて「情報を隠す」という認識は単なる思いこみではないでしょうか。
また、今後消防当局とドンキが民事裁判になる可能性があるので、社員がいると情報を出せない旨のご意見もあるようですが、これについてもやや疑問があると思います。消防法に基づく処分・命令であろうとも、行政側に異議申し立てが出来るようになっております。消防法第4条及び5条に基づく処分・命令に対してこの決定が不服である時は、行政不服審査法に基づき申し立てを行うことができるのではないでしょうか。決定や命令の誤りがある時には消防法第6条により当該市町村より補償されることになっています。この手続きを経ても尚且つ不服であるときは、提訴(民事訴訟か行政訴訟)ということになるのではないでしょうか。従いまして、損害賠償請求等の裁判を想起して、当事者の存在の有無により発表するべき情報が変更されるという判断は、あまり根拠がないように思います。

むしろ、消防当局が行政指導を行ったときの指導内容と異なり、「実際には指導していない内容」の発表をする畏れはありますが(多分ないでしょうけれども)。その場合にのみ、当事者が存在することで困ると考えるのは当局の方であり、それは虚偽情報を提供することになるのであるから非難されるべきは当局であって社員ではない。情報を隠すことで不利になるのは当局であり(報道関係者から適切な指導であったのか突っ込まれるので)、当事者がその場にいることで情報の質が変わるということは考えにくいでしょう。


c)個人の所有物への直接的な介入は合法か

前の記事にも書きましたが、これは消防当局が行っても記者が行っても、たぶん違法行為ではないでしょうか。何を根拠に個人の所有物を取り上げたり、データ消去や破棄の権利を有しているというのでしょう。誰も疑問に思わなかったのでしょうか?こういうことをその場にいた報道関係者諸氏が当然のことのように考え行動していることが、ひどく「特権階級」的と誤解される要因ではないでしょうか。
本当に「いき過ぎだった」と考えるなら、個人的に反省するんではなくて、取り上げ破棄した人物(当局か報道関係者か知りませんが)の所属とかを報道すべきでしょう(社員は「潜り込んでいた」ということで、所属と年齢が報じられてます。これと同じ扱いでなければ、本来おかしいでしょう)。


その場にいた報道関係者や当局の方々が、圧倒的多数とごく少数(この時は1人)の人数的力関係によって、ネットでも見られる「吊るし上げ」状態を作り出したことは間違いないでしょう(以前記事に書きました、マスコミ批判の感想3、カテゴリー:社会全般)。日本人の特性なのでしょうか?イジメが問題などと言うが、こうした心理が大人も子供も持っていて、それが作用するとどこの場においてもこの現象が起こるのかもしれない。こういうのは群集心理として普通にあるのかな?

話が逸れてしまいましたが、ドンキ社員の排除事件については、そのような行動をとらねば社員も助かったのでしょうが、まさに「飛んで火に入る夏の虫」状態で、不当な扱いを受け、バッシングに晒されたことは否定できないでしょう。


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2 コメント

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Unknown (iiwi2)
2004-12-26 20:07:04
 ドンキ社員を排除したのは、裁判を前提にしていると「社員がいると情報を出せない」のでなく、気を使うから嫌だったんだと思います。当事者同士のみが知りうる質問で、足もとをすくわれることもあり得ますから。ただ、消防(行政)側に落ち度があったなら、それは国民は知るべきだと思います。排除に法的な理由があるかどうかはわかりません。記者会見のルールなのかしら?

 私もドンキ社員の吊るし上げは、イジメのようで見ていても不快でした。まあ、そういうことがあった事自体、「報道」で知り得たわけですから、報道って大切ですね。
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Unknown (まさくに)
2004-12-26 23:22:17
ご丁寧なコメント有難うございます。そちらに書き込もうと思ったのですが、書き込めなくてこちらで失礼致します。今回の事件は、それぞれに問題があったと思いますが、やはりマスコミの持つ特殊な権力が行使されてしまったと思います。そのことに気づいて欲しいと思っています。
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