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行政に変化の兆し

2004年12月27日 03時27分20秒 | 政治って?
報道によると、新行革大綱が閣議決定されたようである。一面的な判断と言われるかもしれないが、敢えて政府の姿勢は評価したい。自民党内の議論はどのようなものであるかは分らない。だが、一部でも改革が進行したことは、現政府がある意志を持って臨んでいると考えたい。


改革が必要なことは以前から分っていたことであるし、行政担当者ならば「尋常ではない」ということを認識していたであろう。それにもかかわらず、実質的に改革が進んでこなかったのは族議員や各省庁等の組織的抵抗に原因があったかもしれない。


ここに来て、一部政治家の中にも多少意識変化が出始めてきたのかもしれない。勿論全体的な動きとまではいかないが、国家の危機的状況を目の前にして、「本当に何とかしなければいけない」という危機感を持つ人が出始めたということである。また、官僚にも同様に「何とかしよう」と考える人々が出てきていると思う。

今年の予算編成については、厳しい見方が相当あるのは知っているし、私としても到底満足できうるものではない。だが、以前も書きましたが(「財務省奮戦記」)、「変化の兆し」はあると思っている(平ちゃんの景気判断のコメントみたいですが、笑)。その意味においては、評価したいと考えています。


最近記事に出ていることで感じることがある。たとえば防衛庁だが、不正発覚後庁内で管理体制を強化したりしていると思うが、「本当に改めるつもり」があるのか疑問に思っていた。先日の三菱重工をはじめとする関連企業等への行政処分、タイヤ談合疑惑の公取委の排除勧告という報道、これらを合わせてみると、変わろうという意識が芽生えはじめてきたのかもしれない。今のうちに不正や膿は出し切った方がよいと思う(後になればなるほど苦しさが増すのです)。これからは、癒着体質や持ちつ持たれつという姿勢は許される状況ではないということに、初めて気づいたのかもしれない。皆がそういう意識改革を行わなければ、効果的な変革は非常に困難であろう。

また、警察組織もそうである。道警に代表されるように、裏金があるなら今のうちに「自首」して、返還することと組織改革に取り組むべきである。人員拡大が予算で認められたが、現在のままでは現場の士気に悪影響を及ぼすだろう。犯罪に立ち向かう警察組織は元来「鉄の結束」を持つチームであるはずだ。チームの優れているところは、単に人数の多寡によらず力が出せることだと思っている。昔から言われるように1+1が2ではなく、3にも4にもなり得るということだ。「鉄の結束」は隠蔽する時に役立てるのではなく、業務に役立ててほしい。上司が不正や汚いことばかりやっていたら、チームはだらしなくなり「あいつらばかりズルいよな、いい思いしやがって。俺たちも汚れてやるぞ」くらいの屈折した気持ちが出てくるぞ。不祥事の多いところは、組織内にそういう乱れがあるのではないのか。

スポーツでも軍隊でも、規律が乱れていたりフェアではないチームは、何を競わせても弱い。そういう警察にはなってほしくない。多くの警官たちは国民の安全を守るために正義と義務感を持って取り組んでいるはずだ。警察学校に入校するときの、晴れやかなすがすがしい気持ちで取り組めるように、上層部は初心に立ち返ってほしいと思う。


話が逸れてしまったが、新行革大綱では人員削減や効率的配置などが盛り込まれた。大綱素案がどの部署で考えられたのかはわからないが、官僚チームであろうと思う(議員さんはきっと考えられないであろう、細かいことは苦手ですから)。彼らは、現時点で政治的にも認められる範囲内できっと考えたに違いない。国家公務員制度改革は関連法案が見送られたため、表現としては「後退した」との報道もあったが、私はそうは思わない。おそらく、もっと熟慮すべきであるとの認識であろうかと思う(そう期待したい)。

私は国家公務員制度については、「ぷろとたいぷ」のbuuさん(「官僚は制度に負けるのか」シリーズのTBを見て下さい)との意見交換を通じて考えさせられるところがあった。業務の評価システムをどのようにするのかが問題であろうと思う。前任者の仕事やかつてのやり方について、変更しがたいような組織体質であるかもしれない。以前問題があったことを変えていこうとする時に、個人的な落ち度として「昇進にひびく」とか「責任追及」とかが全面にあると、改善していくことに抵抗が生まれたりするのかもしれない。重要な政策を立案したり、行使する権限の重さに比して報酬が少なく、インセンティブの問題ということも理解できうる。事務次官に至る昇進過程で退職してゆく方々が多く存在することも事実であり、それまでの薄給を天下った先で回収してしまうこともよくあることである。どちらかというと、個人の力量というか能力によらずに、既得権益としてこのようなことが起こってしまう構造が問題なのであり、能力を買われて就職した先が関係法人であったということは通常問題となるわけではなく、これに類似させた誤った方式が根付いてしまったのだろう。そして際限なくこれを拡大してきた、その行いが、逆に世間の風当たりを強くしてしまったと言えるかもしれない。


国民の立場から見て、今回の行革大綱は重要なポイントがあったと見ている。目立たないような記述ではあるが、大綱作成チームの改革意識が表れていると受け止めたい(「またいち」幹事長さんは、「人員削減だけ突出させ世論にこびるやり方は容認できない」「年金運用の赤字を積立金で穴埋めするのは断固反対、国民感覚ではまったく理解できず、開いた口がふさがらない」と述べているが、見るべき部分がずれているように思う。単に『反対』の姿勢はやっぱり野党根性が染み付いているのであろうか)。

ポイントの一つは、国民に対する理解を求める姿勢が打ち出されてきたことである。各府省は予算案決定後、取り組み実績を国民に公表することが盛り込まれた。このことは今まで以上に行政に理解を求めるものと考えてよく、情報公開によって省庁は国民の評価を受ける立場に置かれることになるため、間接的にでも改善姿勢と実績が問われるということだ。もう一つは、行政手続法の改正である。政府・各省庁が国民の権利や義務にかかわる政令や省令をつくる際には、必ず国民に意見を求める手続きを踏むようにするというもので、来年の国会提出を予定しているようである。これもまた、国民に理解を深めてもらうため、法令決定の手続き段階で意見聴取を行うというものである。現在もパブリックコメントの受付がなされているが、かなり専門的であったり国民への周知は浸透しておらず効果的ではない面もないわけではないが、さらに拡大して国民の意見を求めるということは、十分評価に値すると思う。これを盛り込んだことは、行政が「国民を意識」して業務に取り組むという意思表示と受け止めたい。

「またいち」さんはこれについてはコメントしていないが、世論にこびる感じは彼のコメントの方にその印象を受けますが…あいた口が塞がらない心境です。ある部分だけ突出させて見ているのは彼であって、報道の見出ししか理解しようとしない姿勢がコメントに出ていると思ってしまいます(真意はわかりかねますが)。


年金運用の穴埋めに関しては、会計上どのように処理しようとしても年金制度の中で処理する以外になく、確かに過去の施策に問題があったことは事実であるし、この責任については議論の余地があるが、敢えて処理に踏み切ったことは準備段階に入ってきたことを示しているのではないかと推測している。準備とは、「年金一元化」のことである。これを見据えての処理ならば、今の段階で行うことは不自然ではないと思う。制度の違う年金を統合するということになれば、会計上の問題は処理しておくのが妥当であろうと思うのだが。債務処理を先延ばしにして、利払いが膨らんだりするのもマイナスだと思う。勿論私は年金や会計のエキスパートではないから、ひょっとして違うのかもしれませんが、見方としては普通なのではないかと。「断固反対、国民感覚で理解不能」とおっしゃるならば、どう処理するか示してほしいものです。


また、長々書いてしまいましたが、少しずつではあるが、行政も変わりつつあるというのが、私の印象です(期待も込めて)。年末に「予兆」ということになれば、来年には相当の変革があるかもしれません。そう信じたい。


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