万能鑑定士Qの事件簿 IV |
Qシリーズの四作目ですが、今回もやられてしまいました。
動機は分からずとも犯人に目星が付いていただけにちょっぴり勝った気分になっていたのですが、まさかの展開に茫然自失です。
そうきたか、が偽らざる感想で、しかし振り返ってみれば例によって糸口となる伏線がここそこにしっかりと仕込まれていましたので、やはり作者の方が一万枚も上なのでしょう。
題材もいつもどおりに史実が絡めてありますのでググるのが習慣となっており、そこもまた人気シリーズの理由なのだと思います。
映画グッズのコレクターが立て続けに狙われてプレミアムポスターが燃やされるところから事件は始まります。
万能鑑定士Qたる凜田莉子はその損失額算定のための鑑定作業を依頼されたことから事件に関わりますが、同じポスターが複数箇所で狙われたことで広域犯罪として警視庁が捜査に乗り出すのをあざ笑うかのように事件は続き、お馴染みの小笠原悠斗や別シリーズの主人公である臨床心理士の嵯峨敏也とともに謎に挑みます。
そして行き着く先に待っている驚愕の真実、読み手に目星を付けさせたことが既に作者の手のひらの上で踊らされていたのでしょう。
軽いタッチに乗らされて読み進めると後で痛い目に合わされる、そんな見事な作品でした。
2013年1月12日 読破 ★★★★★(5点)