インシテミル |
古典部シリーズが面白かったので米澤穂信の他の作品にも手を出してみたのですが、自分にはちょっと微妙でした。
ある人文科学的実験の被験者として7日間を過ごすだけで時給11万2千円という高額を手にするために集まった12人に課せられたのは地下にあり脱出不可能な暗鬼館での殺し合いだった、というストーリーで、疑心暗鬼になる中で一人、そしてまた一人と参加者が殺されていくクローズドサークルを舞台とした一週間が描かれています。
久しぶりの殺人事件だったからというわけでもありませんが気分的に重くてテンポももっさりとした前半と、主人公が解決に向けて動き出す早いテンポの後半のバランスは意図的だったのかもしれませんが、そのテンポに合わせたペースで読んでいったために終わりがあまりにあっさりとしていた感じがあります。
その全てに説明が必要だとは言いませんが、企画をしたクラブの目的やキーマンが大金を欲しがった理由が最後まで明かされなかったのが一番の消化不良で、突然に名探偵となった主人公が解き明かすトリックや伏線にはさすがと唸らされはしましたが、超然としたお嬢様の存在意義など釈然としないところの方が多かったです。
映画化もされているようですが原作に忠実であれば観たいとは思いませんし、きっと観ないでしょう。
2013年1月8日 読破 ★★★☆☆(3点)