電脳筆写『 心超臨界 』

人生は歎き悲しむよりも
笑いとばすほうが人には合っている
( セネカ )

かけがえのない家族 《 5秒待って――河合隼雄 》

2024-07-29 | 06-愛・家族・幸福
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
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生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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  世の中でいちばん大切なものは家族と愛
  ( ジョン・ウッドン )
  The most important thing in the world is family and love.
  ( John Wooden )


◆5秒待って

『Q&A こころの子育て――誕生から思春期までの48章』
( 河合隼雄、朝日文庫、p62 )

  11
  Q 「早くしなさい」「それはダメ」と、小言ばかり言っています。
  A 手出し口出しする前に、5秒待って様子を見るんです。

親が子どもに説教しようと思ったら、何時間だってできます。親の方が物をよく知ってるし経験もあるから、いくらでも言える。

でも、何か言いたくなったときに、そこで5秒待つんです。「早くしなさいっ!」「それはダメッ!」と子どもに言うのを、ちょっと待つだけで違います。5秒でも10秒でも自分で決めて待って見ていたら、子どもは何かおもしろいことをしますよ。とにかくひと息待つ。

ぼくはスタニスラフスキーの『俳優修業』(未来社)という本が大好きなんです。そこにこんなことが書いてあります。演出家が俳優に歩いてみるように指示して、そばから「そんな風に歩く人があると思うのかね?」とか「重心をとって」とか「行く手に眼をやって」とか言うんです。そうすると俳優はだんだんコチコチになって、動けなくなる。つまり、正しいことを立て続けに言うと、人間は動けなくなるんです。

それと同じで、人を育てるときも、なにも正しいことを言えばいいわけじゃないんです。親子でも、冷たい目で見られて正しいことばかり言われたら、絶対たまらないですよ。子どもには、正しいことをパッパッと言ってたらいい、と思うのは、親がちょっとあせりすぎなのと、指導・助言する立場の方がラクだからなんですね。それだとエネルギーが要らない。逆に子どもの方から出てくるものを待つのは、すごくエネルギーが必要です。

でもちょっと待つ間に子どもは、きっとおもしろいことをします。何かポツン、と言ったり。そして、難しい状況ほど、こどももなんかわかりにくいことを言うんですね。あれは、そういうことを言っておとなを試してるのかなあ、と思うぐらいです。

よく例にあげるんだけど、学校に行ってない子に「なんで行ってないの?」と聞いたら、「学校行くと友達ができますから」とかって言うわけ。そうすると「変なこと言うな。友達できた方がええやないか」といいたくなるでしょ。そのときに「はー、友達ができるからねえ」とか言って待っていたら、続きが出てくるんです。それも「へえ」とか言って聞いていたら、また続きが出てきて、最後の方に「友達がくると父親が変な病気にかかっていることがバレてしまうから」なんて言う。ここまでくるのにだいぶ時間がかかります。ほんとは父親のことで悩んでいるんだけど、それがなんか言えないんですね。

そういうことを体験すればするほど、待つ力もついてきます。だって、待ってたらいいことがあるとわかってくるから、一方的に説教するのではなしに、子どもに対して「開かれている」という態度が大切なんです。

ドイツ文学者の子安美知子さんが、姪に絵本を読んであげようとしたときのことです。姪の友達が横にいて、その子が「そんなん知ってるわー」とか言って、じゃかじゃか邪魔するので、子安さんは「嫌な子やなあ」と思っていたそうです。ところが最後まで読みおわったとき、その子が「おばちゃん、もいっぺん読んで」って言うんですよ。「ん?」と思ったら、「こんどは私に読んで」って。子どもはふたりいるのに、おばちゃんは姪のためにしか読んでないと、その子にはちゃんとわかった。でも「私にも読んでね」とはなかなか言えないから邪魔してたわけです。

そのときの子安さんに、「私に読んで」と言ったらわかってくれると思わせるものが何かあったんでしょうね。そこでその子がそう言わなかったら、「あの子、嫌な子ね」で終わるし、そこだけ見てたら確かにそうでしょう? 人が本読んでるのに「そんなん知ってるわー」とか言って、そばで邪魔をしていたんだから。でもそれは、「私にも読んでね」というサインだったんですね。

言ってくれたらこっちもわかる。子安さんは「ほな、こんどはあんたのために読むわ」と。この話はぼく、ものすごく感激しました。

それでも、正真正銘待つというのは、難しいですねえ。ついイライラしてしまう。黙ってる相手がいつしゃべるか、いつしゃべるか、と思ってるんじゃ、全然待ってることにならないんですよ。子どもにその感じが全部伝わってるわけだから。

ただ、自分を殺して待つ必要はないんですよ。たとえば、子どもがティッシュをどんどん引っぱり出しているときでも、「子どもがおもしろがってるんだから」と、頭で考えてやらせておいたりすると、どこかおかしくなる。普通は「もったいない」と思いますよ。そのときは「もうやめよ」ってとめたらいいんです。

「ちゃんと待ってる」「ちゃんとそこにいる」っていうのは、ほんとに難しいことです。
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