電脳筆写『 心超臨界 』

人があきらめないと決心すれば
後は努力のみがその報酬を約束する
( ナポレオン・ヒル )

オモニの愛は観音菩薩――香川美代野

2024-07-26 | 06-愛・家族・幸福
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観音さまは、正しくは観世音(かんぜおん)菩薩または観自在(かんじざい)菩薩などと呼ばれ、救いを求める人々をよく観察して、自在に救うといいます。また、「観音経」には観音菩薩が一切の衆生(しゅじょう:すべての生き物)の一切の願いを聞き入れるために、三十三の変化身(へんげしん)となってあらわれると説かれています。「オモニ」は韓国語のお母さん。今日の話は、観音さまがオモニに化身して、日本人母子を救う話です。


◆オモニの愛は観音菩薩

「戦後60年――母子を救ったオモニの愛」いま 語り継ぐ ⑤ソ連参戦
( 2005.06.03 日経新聞(朝刊))

「オモニが見せた柔和な笑顔――。毎年師走になると、朝鮮半島に向かって手を合わせる」。60年前の冬、旧ソ連軍の侵攻と暴徒化した朝鮮の民衆を避けながら、幼子を抱えた香川美代野さん(83)=香川県観音寺市=はたった一人、境界を南に向かって越えた。極寒の半島北部から逃げ延びた当時、救いの手を差し伸べてくれた朝鮮人主婦の姿が脳裏をよぎる。

 ■  ■  ■

日本統治下の半島北東部の町、安辺で警察官を務める夫に嫁いだのは1944年2月。朝鮮語は話せなかったが、日本人が多い地域の生活に不自由はなく、翌年5月には長男を出産。平穏な毎日を一変させたのが、8月8日のソ連による突然の宣戦布告だった。

8月15日。終戦を迎えると、過酷な生活にさらに拍車がかかった。間もなく夫はソ連兵に連行、シベリアに抑留された。

当初は知人を頼って得ていたわずかな食糧も、日を追うごとに手に入らなくなった。「警察官は日本による厳しい統治の象徴。その妻は、いつ殺されてもおかしくない」。飢えと恐怖から母乳は止まり、やせ細った長男は泣き声すら上げなくなった。「この子だけは無事に故国に返したい」。12月末、香川さんは米軍占領下の南に向かうことを決意した。

日本人であることを隠した親子は朝鮮服をまとい、屋根のない貨物列車に飛び乗った。人と荷物がひしめき合う車中での二時間、吹雪から守ろうと幼子に覆いかぶさり、「呼吸を止めないで」と祈りながら、小さな胸に何度も耳を当てた。

終着駅までたどり着いたものの、そこから先の道が全く分からない。「もう駄目かもしれない……」。路上で立ちつくしている時、朝鮮人の主婦が民家から手招きしているのに気付いた。

主婦は急いで米を炊き、「たくさん食べろ」とご飯をかき込むしぐさを見せて食事を差し出した。ぬれた服を乾かし、笑顔で長男を抱き上げ母乳もくれた。「のどを鳴らして飲む様子を見て、涙がとまらなくなった」

ただ、オンドルの利いた暖かい家にも長居は許されなかった。主婦の夫は保安隊員で、帰宅すれば日本人の二人を取り押さえかねないという。主婦に紹介された少年の道案内で南へ入った。

 ■  ■  ■

再び香川に戻り、シベリアから帰還した夫と子ども4人を育て、今はたくさんの孫に囲まれて暮らす。「夫の職業もいとわない母の強い愛情に、私たちは救われた」と話し、命の恩人を敬意を込めて「オモニ」と呼ぶ。

感謝の気持ちを持ち続けた60年。この間、明らかになった北朝鮮による拉致問題には胸を痛める。「あの時、間違いなく、人と人とのつながりの大切さを教えてくれた『オモニ』はいた」。香川さんは静かに語った。
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