電話が鳴りました。
誰からかな?と思って携帯のウィンドウをのぞくと時々購入する通販の化粧品のメーカーからでした。
5つで鳴り止みました。
私の携帯は自動的に留守電に切り替わるまでの呼び出しコール音が長めに設定してあります。
15回ぐらい鳴ります。
それが5回で切られたのを見て、(あぁ、この人、ついに本音を見せたな。)と思いました。
実はそれまでにも毎日のように掛かってきていたんですが、出ませんでした。
初めは、留守電にメッセージが入っていました。「○○です。お忙しそうですね。また掛けなおしいたします。」という丁寧なものでした。
それが、2回目から留守電にメッセージは入らなくなりました。
ただ着歴だけが残っているようになりました。
そんなことが4、5回続いて今日はついに最後の留守電に切り替わるのを待たずに5回で自分のほうから電話を切ったわけです。
そこには、彼女が「私も忙しいのよ。出ないなら出ないで結構。ほかの人にすぐかけなきゃならないんだから、10回も15回もコール音なんて聞いてられますかって。」と言っているような気がしました。
この通販の化粧品会社は、「お使いになっていてお肌の調子はいかがですか?」という電話が月に1回はかかってくることになっています。
本当にそのお肌の調子を尋ねてくれるだけならそれはいい、と思っていました。
けれど、今度の担当者になってからやたらと月に何回も電話がかかってくる。
それは、「月刊誌のほうは届きましたでしょうか? それをごらんになっていただくとわかったと思いますが、新製品が出ましてね・・・」という話であったり、「今、キャンペーンを行っているんですが、お得になりますからどうですか? 是非!」という話であったりですが、早い話が常に「買ってくれ。」という用件なわけです。
ある意味、「月に1回のお肌の様子をうかがう電話以外はいたしません。」を売り文句にしている会社としてはルール違反です。
「それは必要ありませんから、けっこうです。」
「まだありますからいりません。」
そんな答えにはびくともしないのが電話セールスに手馴れている人です。
そこからがはじめて自分の出番だ、と思っているくらいです。
語る、語る。
「はぁ、はぁ・・」とだけおとなしく聞いているとちっとも話が終わらない。
結局、断ることも多いのですが、そのたびに時計をみると確実にいつも20分以上かかっている。
そのほとんどの時間が先方がしゃべっている時間です。
タフだなぁ、と感心しますわ。
こっちもヒマじゃないですから、この人の電話に今出たら20分はかかる、と思うともうよほど注文したい商品が確定しているようなときしか電話に出なくなりました。
するとあるとき、いつものようにさんざ商品を推してきて、それでも「いりません。」と繰り返し、最後訪れた沈黙にもびくともせず受話器を握っていると、先方がため息をつきながら、
「ごめんなさいね~、なんだか・・・ 私の説明がヘタだから、いつもあなたは必要ないってことになっちゃうのかしら。」って言いました。
この発言、発想にはびっくらこきましたね~
違うポイントで反省してほしいんですけど・・・
でまた、あるとき。
そのときには私は注文したいものがあったので、その人が一生懸命、キャンペーン中の別の商品を説明するのをさえぎって、「あ、そういえば、○○、ください。」と注文しました。
すると「あ、はい。」とその注文を承ったあと、なんとその人は、あんなに熱弁をふるっていたキャンペーン中の商品の話には戻らず、
「それでは、ごきげんよう~」とまさにごきげんそのものって声でそのまま電話を切ったのです。
まぁ、別にその商品について説明を続けて聞きたかったわけではないですからいいんだけど、なんて現金なんだろう、と思い、そのときから、「ただこの人は1回の電話につき何らかの売上をたてたいだけだな。」という気持ちが透けて見えるようになったので、信用できなくなりました。
そして、今日の5回コール切りです。
5回で切ることがいけないわけでもマナー違反なわけでもなんでもありませんよ。
ただ今までずっと留守電に切り替わるまでは鳴らす、というようにしていたんだったら、そのマイルールは続けないと、私のような容赦のない人間には、「やってらんないわ。この人のコール音15回聞いてるくらいなら、見込みがありそうな人にバンバンかけまくったほうがましよ。」と、この人おもってるんだろうな~というふうに思われてしまうんです。
でも、たぶん、そんなとこだろうな、と踏んでいます。
電話セールスを仕事にしている人って、「顔もみえない、見知らぬ人にどう思われたってかまわないわ。」とへいちゃらなのかもしれませんが、電話の向こうの相手は、あなたのちょっとした変化や口ぐせなどからあなたの本音を見透かしていますよ~と教えてあげたくなります。
ちなみに私は、顔も見えない、見知らぬ人だからこそ、細心の注意を払って応対しないといけない、と思っています。
顔がみえないからこそ起こった誤解などがあったら取り返しがつきませんもん。
そして、顔が見えないからこそ、でも、いま、この人とつながっているんだ、という波長を大切にしたいから。
・・・でも、ときどき、この化粧品会社の人のような神経の図太さもちょっとわけて欲しいな、と思ったりもします。
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