私は人を雇うのが苦手です。
出来れば一生そんなことはしたくありません。
「人を使う」(この表現は嫌だけど)ことのほうがまだましです。
わざわざ「人を雇う」というのと、「人を使う」というのを分けたのは、人を雇う、というのは文字通り、自分がお金を出して働いていただく、ということであり、人を使う、というのは自分もある程度大きな会社などの組織に属して、自分のポケットマネーからお金を出すわけではないけれど、部下がいる、というかたちで育成だけは任された、というような場合です。
そこには天と地ほどの開きがあると思います。
人を雇うのは経営です。
どんなにその人が良い人で、良く働いてくれても、経営がどうにもならなければ、規模を縮小せざるをえないわけですからそこでたぶん、もっとも大きいのは人件費という経費でしょう。経営が立ち行かなくなれば、その人に真っ先に辞めてもらわなくてはならないかもしれないのです。
けれど、部下の育成ということであれば、そんな経営の苦労は考えなくてもその人をいかに活かしてあげるか、伸ばしてあげるか、だけを考えればいい。
人を雇う、ということはある意味、その人の一生を引き受ける、ということだと思っています。
順調に働くことが出来た場合、その人は職場を変えるつもりはなく、動けるまではここで働こう、という人生設計を立てているかもしれません。
それを軽々しく「辞めてもらう」ということが自分には出来ないように思うのです。
今、まだ私は人を雇えるほどにサロン経営が成り立っていませんが、ゆくゆく自分が手がけたいことを考えると、経営はともかくとして、誰かにいてもらわないととても自分のやりたいことにどんどん取り組んではいけないなぁ、と思いどうしたらいいんだろう、とまだそんなことを考える必要もないのに気が重くなったり、考えても詮無いことでああでもないこうでもないと悶々と悩んでしまいます。
だから上手に人を雇ってらっしゃる方を見るとどうすればああいうふうにできるんだろう?と尊敬の念とうらやましいと思う気持ちが錯綜したり、逆にいいかげんな気持ちで人を雇っている人を見ると、自分のことでもないのに腹を立てたりしていました。
先日も、あるオーラソーマのティーチャーのところで働いているスタッフは全員が無給よ、と聞き、びっくりして思わず「えぇ~!?」と声をあげてしまいました。
「どうしてそんなことができるの?」
「何でも、ここで働けること自体があなた達の勉強でしょ、ってことみたい。」
ふぅ~ん・・・
まぁ、何事にも試用期間というものはありますから、例えば最初の1ヶ月間はそういう条件でもありかなぁ、とは思いますが、いくら勤めてもその待遇のまま、というのは相手の弱みにつけこんだ労働泥棒だと思うんですが・・・
そんな折り、昨日朝のワイドショーで1人7役をこなす「1人オーケストラ」の「事務員G」(これがホントのステージネームみたいです。)さんの演奏を見ました。
何でも、「you tube」の動画投稿サイトで何百万アクセスだかを記録して、今、話題の人らしいです。
彼はピアノを主に、ドラム、ピアニカ、マリンバなどの木管楽器の計7種を実に巧みに扱っていました。
そんな彼に司会者が「どうしてまた1人オーケストラをやろうと思ったのですか?」と尋ねると、
「いやぁ、どこまで1人でできるかなぁ、と思っていたら、これだけになりまして。」とおっしゃっていました。
つまり、最初からよし、これだけはやろう、と決めて取り組んだわけではなくて、どこまでが1人で可能なのかなぁ、と思ってやっているうちに、1つ、2つと楽器が増えていった、ということみたいです。
それを見ているうちに、私はまた以前にテレビで見たある1人で奮闘していた人を思い出しました。
その男性はキャバクラ経営者でした。
そして経営者兼店長兼ウェイター兼調理場担当兼人事担当兼経理兼・・・と何役もこなしていました。
早い話がお店にキャバクラ嬢のほかには彼しかいないのです。
ある日の店内を映していましたが、それはもうてんてこ舞いでした。
彼の働きを代わりに何人か従業員を雇ったとすると、あと11人は雇わなくてはいけないことになるんだそうです。ひえぇ~、すごすぎる・・・
その彼にインタビュアーが聞きました。
「それ、全部一人でこなせるんですか?」
すると彼は涼しい顔をして答えました。
「大丈夫ですよ。やる気になればできるんですよ。最初からやれないと思ったらやれない。」
「1人オーケストラ」もこのキャバクラ経営者も、どちらも常識にとらわれて「ここまでは一人でできるわけがない。」と思ってしまったら、その時点で出来なくなってしまう、出来ると思えば出来るんだ、ということを身をもって教えてくれていました。
私はつい、1人でやるにはいつもいつも自分がサロンに詰めていなくてはならないけれど、私にはさらにやりたいこともあるし、勉強もしなくてはいけないし、テクニックを磨いたり維持するためには他のサロンに実際に自分が出かけてみることも大切だろうし・・・ などと考えてそれらを全部実現するためにはどこかで人を雇わなくてはいけないんだろうなぁ、と漠然と考えていましたが、1人でやってやれないことはない、と出来るところまで突っ走ってみるのもいいか、と思えてきました。
でも、その反面、昔ある、人を雇うのが上手な人が、「人を使うコツというのは、そんなこと自分だけで出来る、とか自分でやったほうが早い、と思うことを人に任せることだ。」と言っていて、この言葉にも深くうなったことがあります。
まだまだこの問題は私にとっては重荷のようです。(でもその前に一人でやるべき問題が山積してるだろーと自分自身の突っ込みの声あり。)
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