司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の行使 その2

2011年07月26日 | 商業登記

おはようございます♪
では、早速昨日のつづきです。

新株予約権付社債というのは商法の時代に新設されたもので、会社法でも同様に発行することができますが、会社法施行の前後では取り扱いが若干異なっています。
一方、旧商法下で発行された転換社債や新株引受権付社債については、以前もチョピット紹介したように、法律の適用は従前のとおりとされています。したがって、登記も当時の商業登記法の規定に従って行うことになるんですよね。

旧商法下で発行された転換社債型新株予約権付社債の新株予約権の行使の場合、「社債全額の償還に代えて新株予約権の行使価額の払込みがあったものとする」と構成されていました。
会社法下においては、「社債を現物出資するもの」と構成されています。

このことによって、登記事項にも影響がありまして、「金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とする旨ならびに出資の目的とする財産の内容及び価額」が新たに登記事項に加わりました。

そして、旧商法下で発行された転換社債型新株予約権付社債に関しては、この登記事項が登記されていなかったので、いわゆる「6ヶ月内の登記」が義務付けられたわけです。
もう、ずいぶん前のことのようでもあり、つい最近のことのようでもあり。。。。とにかく、クライアントさんに説明するのも、漏れがないかどうか確認するのも大わらわ。

普通の新株予約権も「6ヶ月内の登記」が必要でしたが、新株予約権付社債に関しては数が少ないためか、どういう内容で登記するのかってことを法務局が把握していなかったりしましてね。。。^^;

そんなこんなで、会社法施行前に発行された新株予約権付社債の新株予約権が行使されました。
けれども、ここでも、会社法下で発行されたモノとは少し異なっています。それは。。。。

転換社債型新株予約権というのは、行使の際に社債が現物出資されるって構成に変わったのですが、現物出資についての検査役の調査に関する規定は適用除外になっているんです(整備法第103条)。

現物出資というと、かなり使い勝手が良くなっていますよね。
原則は検査役の調査が必要ですが、例外がいくつもありまして(会社法第284条第9項)、例えば、弁済期が到来した金銭債権の場合、市場価額のある株式の場合、専門家の証明書が提出された場合、発行する株式が発行済株式総数の10分の1の場合、財産の価額が500万円以下の場合などです。 検査役の調査が要らない代わりに、何らかの証明書を発行しなければいけないケースもありますけど、でも、検査役の調査と比べれば、何と簡単なことか!

しかし、適用除外ということは、こういう状況は全く考慮する必要がなく、原則だろうが例外だろうが関係なし!
登記の際も、当然のことながら、現物出資に関する書面は一切添付する必要はありません。

つまり、理論上は現物出資へと構成が変わったものの、事実上は従前の取り扱いは変わってないようなものでした。
だから、「あ~良かった♪」ってことで、行使の登記を終えたわけですよ。

ちなみに、その他の添付書類なんかも一応ご紹介したほうが良いかも知れませんね。
じゃあ、また明日に ♪

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする