司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

全ての日本における代表者の退任公告 その1

2012年07月19日 | 渉外関係

おはようございます_(_^_)_

先日、久しぶりに「外国会社の営業所廃止」の案件を受託いたしました。
久しぶりだったので、改めて「それで良いのかなぁ~?」と思うことがあり、ご紹介してみたいと思います。

「外国会社の営業所廃止(閉鎖)⇒(注)」というのは、実際は正しい表現ではありませんで、本当は「全ての日本における代表者の退任」と表現されていますね。
外国会社の営業所設置義務が撤廃されたことにより、「営業所を廃止(閉鎖)した = 日本からの撤退」ではなく、日本における代表者全員が退任したとき(登記が効力要件になってマス)が日本からの撤退時点になる、とされたからなんです。

(注: ずいぶん前のことで恐縮ですが、営業所設置義務撤廃前の「営業所の廃止」は、営業所設置義務の撤廃と同時に「営業所の閉鎖」という表現に変更されたようです。改正前とはちょっと意味合いが違っちゃったんで表現を変えたのでしょうかね?営業所だけを閉鎖して、日本における代表者個人の住所に登記をするという案件は扱ったことがないので、全然気付きませんでした。ま、大したハナシじゃないんですけど、念のため^^;)

ま、コレ自体は会社法施行前の商法改正のときからのハナシなので、特に珍しいことはないのですが、一応おさらい。

営業所廃止(=便宜、全ての日本における代表者の退任手続のことを指します)の手続きは、会社の解散ととても良く似ています。

日本法人の場合は大雑把ですが、①株主総会における解散決議⇒②定款に定めた公告方法による解散公告、知れたる債権者に対する債権申出催告⇒③清算人による債権取立て、債務の弁済⇒④残余財産確定、分配⇒⑤清算結了登記  という流れになっております。

一方、外国会社の場合は、①本国での営業所廃止決定(準拠法による)⇒②定款に定めた公告方法による「全ての日本における代表者の退任公告」、日本国内の知れたる債権者に対する催告⇒③全ての日本における代表者の退任の登記(効力発生)

似ていますけど、ちょっと違うところ。
会社の解散・清算の場合は、会社が消滅してしまうけど、外国会社の場合は、会社は外国にあるってこと。
そのため、債権者保護手続きに関しては、どちらかと言うと、組織再編の方に似ています。

催告期間は1ヶ月だし、催告の内容も「異議申述催告」です。
コレに対し、解散の場合の催告期間は2ヶ月、催告の内容は「債権申出催告」です。

異議申述催告というのは、「外国会社が日本から撤退しますよ~!」というお知らせ。異議が出たら、その債権者に対して弁済等をしなければなりません。

コレに対し、債権申出催告の方は、「アナタの当社への債権(と額)を申し出てくださいね。」というモノ。

ついでに言うと、官報公告の場合の掲載場所も違いまして、解散公告の方は「号外」、外国会社の方は「本紙」です。
そのため、申込期間も前者の方が時間がかかります(前者:2週間程度、後者:1週間程度)。

そうは言っても、日本から撤退するのですから、極力、日本での債権・債務はキチンと清算されていましてね。
事業譲渡をする場合もありますし、ホントに事業を畳むこともありますが、実務上は、最後の登記申請の時点では、「知れタル債権者は存在しない」状態にするようです。

。。。というわけで、今回のケース。
まず一つ、ご相談を受けたことがあります。
続きはまた明日♪

コメント
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