ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

天然美と芸術の美しさに満ちたヴィーナスライン

2012年03月23日 | 随筆・短歌
 信州が好きな私たちは、一度はヴィーナスラインへ行ってみたいと思っていました。夫の知人が勧めてくれていて、およそのコースを決めてくれてありました。ところが出かける直前になって、思わぬ出来事に出会い、旅はそのまま行けずじまいでした。
 その後二年くらい経って、改めて今度は自分たちで距離を調べ、コースを決めて愛車で出かけることにしました。時間をたっぷりかけて、ゆっくり行くことにしました。
 その頃は未だ奈良や京都の寺院や仏像、庭園の魅力よりも、美術館巡りが多かった時代です。安曇野の碌山美術館、ジャンセン美術館、ちひろ美術館、アイマックスシアターなどを見て安曇野に泊まりました。
 翌日蓼科で、マリーローランサン美術館に寄って、バステルカラーの美しい女性の絵画を鑑賞しました。また芸術の森・彫刻公園を散策して、ダイナミックな彫刻と、美しい芝や林の公園を楽しみました。芝の中の雑草を丁寧に抜いている女性たちがいて、美しい芝の公園の管理の大変さを知った思いもしました。
 やがてピラタス横岳ロープウェイに乗って横岳の頂上の坪庭へ登りました。風が強くて岩や這いまつ枯れ木の坪庭には長くは居れず、再びロープウェイで降りて、蓼科高原美術館へ行き、矢崎虎夫の阿修羅のブロンズや三蔵法師などシルクロード群像、瞑想・托鉢・五体投地の僧の群像など、大きなブロンズを見ました。そして白樺湖畔で一泊したのです。
 ところがホテルに着いて間もなく、我が家から電話があり私が現役の頃に親しくしていた、そう年の違わない先輩女性の友人が亡くなられたとの知らせが入ったことを聞きました。大変なショックでした。しかし何しろ遠くに来ている訳ですから、友人に電話をしたりして、申し訳ない気持ちを抱えたまま旅を続けるしかありませんでした。今でもテレビや写真で白樺湖を見る度に、亡き友を想い出し、ご冥福をお祈りしています。
 翌日はビーナスラインの車山高原、霧ヶ峰、八島高層湿原へ寄って美ヶ原の高原美術館へと行きました。大きく蛇行する道路と美しく広い高原は、花々が咲き乱れ、360度見渡せる高原と山々など、地球は丸いのだとこんな所でも感じました。
 地球は丸いと云う感じの草原は、北海道のパッチワークの丘でも感じたのですが、海で感じる丸さと又変わって、なかなか趣がありました。八島湿原では、暫く池の回りの木道を散策したり、ビジターセンター「あざみ館」に寄りましたが、美しい花々や景色の写真が飾ってあり「アザミの歌」が途切れることなく流れていました。
 八州秀章作曲の
 「山には山の憂いあり  海には海の悲しみや  まして心り花園に  咲きしあざみの花ならば」というあの有名な歌です。
 確かにビーナスラインと云うだけあって、なだらかな美しい高原道路でした。お天気にも恵まれました。
 絵画も彫刻も大自然もそれぞれに美しく、美しいものを目いっぱい見てきた、と云う思いがあった一方、親しい人の突然の訃報にも遭遇した、忘れられない想い出の旅になりました。
 あれから何年も経ちますが、写真を撮りアルバムに整理してあって、支出もメモしてありますので、どんなコースをたどり、何処でコーヒーを飲んだか、ということまで思い出せるのです。もし、どちらか先立った場合にこのアルバムは、この上ない想い出のよすがとなることでしょう。
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