最近様々な業種で、過労が報じられています。日本は最近労働人口の減少で、人手が不足して、会社もその為に倒産せざるを得ないところが出て来ているようです。
ところで先日、わが家で購読している地方紙に、「米医師の54.3%に燃え尽き症候群」という見出しで、『米国の6000人以上の医師を対象にした調査で、半数に「燃え尽き症候群」の症状があり、こうした手師は医療過誤を起こしやすい。また32.8%が過労、6.5%が自殺願望の経験があり、10.5%が三ヶ月以内に重大な医療過誤を起こしていた、との結果を米メイヨー・クリニックの研究者が発表した。』と書いてありました。
これは見逃しの出来ない重大事です。病を治して貰うために診てもらったら、死ななくても良い人が医療過誤で亡くなる事にもなりかねないということです。
日本でも医師の過労が問題になっていて、現に私の住んでいる市では、以前市民病院の女性研修医が、考えられない程の超過勤務をしていて、心の病となり、自死しました。
両親の訴えにより、過労死として認められましたが、亡くなった医師にしてみれば、長い間苦労して学び、医師として働くことに生き甲斐を持っていたことでしょう。その心は察するに余りあるものがあります。
医学部の受験者に男女で合格率が異なるという事実について、過日問題になりました。女性医師は結婚出産などで勤務を休むことが多いので、やむを得ず男性の合格率を上げているのだと言う事でした。確かに子供は女性しか産めないし、現在の日本では、家事・育児・介護について比較すると、男性よりも女性のほうが、多くの時間を費やして関わっていると言えるでしょう。ただこの記事を読んで気になったのは、出産することは、職場にとって、或いは社会にとって迷惑だとの思いが根底にあるように感じられたことです。誤解であれば良いのですが、もしそうだとしたら、それは亡国の思想と言わざるを得ません。
厚生労働省の調査によると、年代別、男女別の週当たり勤務時間60時間以上の病院常勤医師の割合ついて、
○いずれの年代においても男性の割合が女性よりも多い。
○20代では、週当たり勤務時間60時間以上の割合は、男女で大きな差は見られないが、30代・40代・50代の男女では男性医師の割合が大きく、60代以降では再び男女差が少なくなっています。
これは、子育て時代の女性医師が、男性よりも少なく、子育てが終わると再び働くので、差が縮まるということです。
厚生労働省は、厚生労働科学特別研究事業として、「女性医師就労支援事業の収集・検討」というまとめを平成20年度に出しています。
勤務環境の見直し、妊娠・出産・育児中の女性医師への具体的な支援など、細かく策定しています。策定された内容に比べて、実際乗り越えなければならない困難との間に未だ乖離があるのでしょう。何とか早急に解決しないと、能力差が多少低くても、男性医師を多く育成をしたほうが手っ取り早い、ということになってしまわないでしょうか。
世界的に見ても、人口1000人当たりの臨床医数は、世界の主な国36カ国中で多いのは4.7のオーストリア4.0のノルウェーが多く、日本は32位に当たり、約2.2人です。女性医師の割合はスロベニア、ポーランド、フィンランドの55%程度に比べて日本は18.0%で、およそ32ヶ国中32位です。およそというのは、資格を有して居るだけの医師を加えたりしている国もあるからてです。
こうして見ても、日本の医師不足は格別で、超過勤務にならざるを得ないのも無理からぬところです。
しかし、医師として働く事は、人の為に役立つ仕事であり、誰でも望めば出来る事ではありません。女性医師が仕事を中断(休職)した『理由』を見ると、出産70%、子育て28.3%自分の病気療養14.5%となっていて、過労から来る心の病なども多く、14.5%が病気が原因となっています。その多くが精神疾患で、自殺者も多いのです。
「精神疾患」というのは、うつ病やその周辺の疾患のことでしょうが、「医師は仕事のストレスなどでうつ病になることが少なくないが、そうなっても自ら治療を求めて受診することはなく、重症化してついに自殺に至る可能性が高い。とくに既婚者や女性の場合でその傾向が目立つ」ということになるでしょうか。
ここで問題はふたつあります。ひとつは「なぜ医師はうつ病になりやすいのか」ということ、もうひとつは「なぜ自分で専門医にかからないのか」ということです。
一つ目の「なぜうつ病に」という方ですが、これは「長時間の激務」「重い責任」や「自分を責めたり責められたりする場面も少なくない」「スタッフや患者との人間関係の問題も生じやすい」といったさまざまなリスクファクターが考えられます。とくに女性の場合、子育てや介護などの生活と仕事とのバランスで苦しむ場合も少なくないですが、女性医師には生真面目で完璧主義な人も多いので、どちらも手抜きができず、慢性の疲労状態を抱え込むことになるそうです。
とはいえ、多くの医師が病院に勤務していたり同級生も医師だったりするのですから、うつ病になったらすぐに受診しやすい環境にいることもたしかなはずです。また、精神科医でなくてもメンタル疾患の基本知識はあるでしょうから、「私はうつじゃないのかな」と早期に気づくこともできる筈です。
ところが、「医者の不養生」で、医師は自己診断、自己治療はするものの、なかなか自分が患者となって診察室のドアをノックしたがらない。「自分が診てもらうのは情けない」といったプライドや「忙しい他の医者に迷惑をかけられない」といった配慮などが複雑に絡み合い、“ひとりの患者”になるのを避けようとしがちなのだとあります。
また、精神科はほかの科と違って血液検査や画像などがあるわけではないので、客観的な診断、治療がきわめてしにくいと言えます。
このような周囲の環境をもっと働きやすく、心身の休養をもっと取れるように、環境を整備しなければならないのは明らかです。
厚生労働省も、勤務環境の見直しとして、診療体制にチーム制を取り入れる、労働時間を守るなど様々な対策を推進しています。当直回数を見直すとか、当直を含む勤務時間について考える等々、改善に取り組む制度作りや専任スタッフを整えるように指導しています。
患者として診て頂く方も、病気の原因や程度を良く考えて、受診する必要があると考えます。国民皆保険制度で、日本人は医療を受けやすくなり、これはとても幸せなことです。だからといって、安易に医療機関を多用すると、このように医師の過労を招きます。
私の夫の叔父は、開業医でした。医院が少ない時代でしたから、過労の日々だったと聞きますが、普段なら抵抗力があるはずなのに、患者の病気が移ってあっけなく亡くなりました。夫は父親から、医師以外の職業を選ぶようにと「医学部以外なら何処でも行きたい大学へ行っていい」と言われたと聞きました。兄の病死が忘れられなかったのでしょう。
先頃私は、そろそろ涼風も立ったし、と通っているスポーツジムへ夫と揃って出かけ、何時もより強めに身体を動かして帰りました。ところが10分余りの道のりの半分くらいになって、急に気分が悪くなりました。腰が下ろせるスペースを見つけて、そこで少し休みました。このように血圧が下がって、気分が悪くなることは時折あり、過去には起立性低血圧で倒れて救急車をお願いしたこともあったので、取りあえず休息を取ったのです。
暫く休んでから、何とか歩いて帰宅しました。ホッとして血圧を測定してみようと思ったのですが、測定不可だったのです。同時に心拍数が大変増えて、血圧計では測定不可能になりました。ただごとで無いことに、私自身も気付き、幸いホームドクターが循環器の専門医でしたから、土曜日の診療時間ギリギリでしたが、何とかタクシーで駆け付けて診て頂きました。
間もなく症状も良くなって来ていたのですが、心電図を撮ったりエコーの検査があって、暑い日の過度の運動により、血圧が下がった為の頻脈と不整脈のためだと言うことでした。ごく短い時間とは言え、外部から感じ取れない程の微弱な頻脈に驚かされました。不整脈と言われたのも初めてでした。老いて知る体力の減少や、急激に出る症状に、日頃からの注意が大切だと思い知らされました。
このようにして、私達は何時医師のお世話になるか、分からないのですが、現状は前出の様に、諸外国と比較しても、医師の数が不足していることが、日本の医療の大問題なのです。
医学部の新設や定数を増やさない、国の方針も問題ですが、医師会としても、歯科医のように供給過多になることを恐れて、医師の数を増やすことに反対しているのだと聞きました。(歯科医師の定数を増やし過ぎた結果、歯科医師の収入は可成り低くなっていることは周知の事実です)
医師の過労を防ぎ、燃え尽き症候群からの、医療過誤を起こさないようにする為にも、医師数の増加に真剣に取り組んでいただきたいもののだと思います。先進諸国と比較して、今や最下位に近い現状を、関係者はどう見ておられるのでしょうか。
ところで先日、わが家で購読している地方紙に、「米医師の54.3%に燃え尽き症候群」という見出しで、『米国の6000人以上の医師を対象にした調査で、半数に「燃え尽き症候群」の症状があり、こうした手師は医療過誤を起こしやすい。また32.8%が過労、6.5%が自殺願望の経験があり、10.5%が三ヶ月以内に重大な医療過誤を起こしていた、との結果を米メイヨー・クリニックの研究者が発表した。』と書いてありました。
これは見逃しの出来ない重大事です。病を治して貰うために診てもらったら、死ななくても良い人が医療過誤で亡くなる事にもなりかねないということです。
日本でも医師の過労が問題になっていて、現に私の住んでいる市では、以前市民病院の女性研修医が、考えられない程の超過勤務をしていて、心の病となり、自死しました。
両親の訴えにより、過労死として認められましたが、亡くなった医師にしてみれば、長い間苦労して学び、医師として働くことに生き甲斐を持っていたことでしょう。その心は察するに余りあるものがあります。
医学部の受験者に男女で合格率が異なるという事実について、過日問題になりました。女性医師は結婚出産などで勤務を休むことが多いので、やむを得ず男性の合格率を上げているのだと言う事でした。確かに子供は女性しか産めないし、現在の日本では、家事・育児・介護について比較すると、男性よりも女性のほうが、多くの時間を費やして関わっていると言えるでしょう。ただこの記事を読んで気になったのは、出産することは、職場にとって、或いは社会にとって迷惑だとの思いが根底にあるように感じられたことです。誤解であれば良いのですが、もしそうだとしたら、それは亡国の思想と言わざるを得ません。
厚生労働省の調査によると、年代別、男女別の週当たり勤務時間60時間以上の病院常勤医師の割合ついて、
○いずれの年代においても男性の割合が女性よりも多い。
○20代では、週当たり勤務時間60時間以上の割合は、男女で大きな差は見られないが、30代・40代・50代の男女では男性医師の割合が大きく、60代以降では再び男女差が少なくなっています。
これは、子育て時代の女性医師が、男性よりも少なく、子育てが終わると再び働くので、差が縮まるということです。
厚生労働省は、厚生労働科学特別研究事業として、「女性医師就労支援事業の収集・検討」というまとめを平成20年度に出しています。
勤務環境の見直し、妊娠・出産・育児中の女性医師への具体的な支援など、細かく策定しています。策定された内容に比べて、実際乗り越えなければならない困難との間に未だ乖離があるのでしょう。何とか早急に解決しないと、能力差が多少低くても、男性医師を多く育成をしたほうが手っ取り早い、ということになってしまわないでしょうか。
世界的に見ても、人口1000人当たりの臨床医数は、世界の主な国36カ国中で多いのは4.7のオーストリア4.0のノルウェーが多く、日本は32位に当たり、約2.2人です。女性医師の割合はスロベニア、ポーランド、フィンランドの55%程度に比べて日本は18.0%で、およそ32ヶ国中32位です。およそというのは、資格を有して居るだけの医師を加えたりしている国もあるからてです。
こうして見ても、日本の医師不足は格別で、超過勤務にならざるを得ないのも無理からぬところです。
しかし、医師として働く事は、人の為に役立つ仕事であり、誰でも望めば出来る事ではありません。女性医師が仕事を中断(休職)した『理由』を見ると、出産70%、子育て28.3%自分の病気療養14.5%となっていて、過労から来る心の病なども多く、14.5%が病気が原因となっています。その多くが精神疾患で、自殺者も多いのです。
「精神疾患」というのは、うつ病やその周辺の疾患のことでしょうが、「医師は仕事のストレスなどでうつ病になることが少なくないが、そうなっても自ら治療を求めて受診することはなく、重症化してついに自殺に至る可能性が高い。とくに既婚者や女性の場合でその傾向が目立つ」ということになるでしょうか。
ここで問題はふたつあります。ひとつは「なぜ医師はうつ病になりやすいのか」ということ、もうひとつは「なぜ自分で専門医にかからないのか」ということです。
一つ目の「なぜうつ病に」という方ですが、これは「長時間の激務」「重い責任」や「自分を責めたり責められたりする場面も少なくない」「スタッフや患者との人間関係の問題も生じやすい」といったさまざまなリスクファクターが考えられます。とくに女性の場合、子育てや介護などの生活と仕事とのバランスで苦しむ場合も少なくないですが、女性医師には生真面目で完璧主義な人も多いので、どちらも手抜きができず、慢性の疲労状態を抱え込むことになるそうです。
とはいえ、多くの医師が病院に勤務していたり同級生も医師だったりするのですから、うつ病になったらすぐに受診しやすい環境にいることもたしかなはずです。また、精神科医でなくてもメンタル疾患の基本知識はあるでしょうから、「私はうつじゃないのかな」と早期に気づくこともできる筈です。
ところが、「医者の不養生」で、医師は自己診断、自己治療はするものの、なかなか自分が患者となって診察室のドアをノックしたがらない。「自分が診てもらうのは情けない」といったプライドや「忙しい他の医者に迷惑をかけられない」といった配慮などが複雑に絡み合い、“ひとりの患者”になるのを避けようとしがちなのだとあります。
また、精神科はほかの科と違って血液検査や画像などがあるわけではないので、客観的な診断、治療がきわめてしにくいと言えます。
このような周囲の環境をもっと働きやすく、心身の休養をもっと取れるように、環境を整備しなければならないのは明らかです。
厚生労働省も、勤務環境の見直しとして、診療体制にチーム制を取り入れる、労働時間を守るなど様々な対策を推進しています。当直回数を見直すとか、当直を含む勤務時間について考える等々、改善に取り組む制度作りや専任スタッフを整えるように指導しています。
患者として診て頂く方も、病気の原因や程度を良く考えて、受診する必要があると考えます。国民皆保険制度で、日本人は医療を受けやすくなり、これはとても幸せなことです。だからといって、安易に医療機関を多用すると、このように医師の過労を招きます。
私の夫の叔父は、開業医でした。医院が少ない時代でしたから、過労の日々だったと聞きますが、普段なら抵抗力があるはずなのに、患者の病気が移ってあっけなく亡くなりました。夫は父親から、医師以外の職業を選ぶようにと「医学部以外なら何処でも行きたい大学へ行っていい」と言われたと聞きました。兄の病死が忘れられなかったのでしょう。
先頃私は、そろそろ涼風も立ったし、と通っているスポーツジムへ夫と揃って出かけ、何時もより強めに身体を動かして帰りました。ところが10分余りの道のりの半分くらいになって、急に気分が悪くなりました。腰が下ろせるスペースを見つけて、そこで少し休みました。このように血圧が下がって、気分が悪くなることは時折あり、過去には起立性低血圧で倒れて救急車をお願いしたこともあったので、取りあえず休息を取ったのです。
暫く休んでから、何とか歩いて帰宅しました。ホッとして血圧を測定してみようと思ったのですが、測定不可だったのです。同時に心拍数が大変増えて、血圧計では測定不可能になりました。ただごとで無いことに、私自身も気付き、幸いホームドクターが循環器の専門医でしたから、土曜日の診療時間ギリギリでしたが、何とかタクシーで駆け付けて診て頂きました。
間もなく症状も良くなって来ていたのですが、心電図を撮ったりエコーの検査があって、暑い日の過度の運動により、血圧が下がった為の頻脈と不整脈のためだと言うことでした。ごく短い時間とは言え、外部から感じ取れない程の微弱な頻脈に驚かされました。不整脈と言われたのも初めてでした。老いて知る体力の減少や、急激に出る症状に、日頃からの注意が大切だと思い知らされました。
このようにして、私達は何時医師のお世話になるか、分からないのですが、現状は前出の様に、諸外国と比較しても、医師の数が不足していることが、日本の医療の大問題なのです。
医学部の新設や定数を増やさない、国の方針も問題ですが、医師会としても、歯科医のように供給過多になることを恐れて、医師の数を増やすことに反対しているのだと聞きました。(歯科医師の定数を増やし過ぎた結果、歯科医師の収入は可成り低くなっていることは周知の事実です)
医師の過労を防ぎ、燃え尽き症候群からの、医療過誤を起こさないようにする為にも、医師数の増加に真剣に取り組んでいただきたいもののだと思います。先進諸国と比較して、今や最下位に近い現状を、関係者はどう見ておられるのでしょうか。