ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

「バナナばかりがなぜ売れる」

2010年02月07日 | 随筆・短歌
 一月三十一日の日本経済新聞に、表題のような記事が載っていました。バナナの輸入が、2009年には、前年より15%増えて、それは第二位のリンゴの1.7倍だそうです。
 「バナナで朝食」というダイエットブーム以来、続いているそうで、私はダイエットも、食生活もこれではどうしょうもなくなる、と思って心配です。確かに太りすぎは、成人病に良くないのですが、最近のダイエットは行きすぎで、それは単なる痩せ願望でしかないと思え、健康なダイエットとは似て非なるものだと思います。
 ランナーが、急場の栄養補給にバナナというのなら、理解出来ますが、バナナが朝食であり、朝の主食の第三位と聞くと、いささか驚きます。パン、ご飯、の次がバナナだそうで、皮を剥くだけで食べられる手軽さ、とありますが、果たしてこれで主食と言えるでしょうか。こんな食生活をしていたら、将来健康でいられる筈はありません。
 バナナが店頭から消えた、と言うあのバナナダイエットの時は、バナナと水だけが朝食なのだそうです。もしこのまま こうした食生活の人達が年を取ったら、きっと骨粗鬆症の人が巷に溢れてしまうことでしょう。想像しただけで恐ろしいことです。
 日経ヘルスの二月号に「料理を手作りすることが大切、、手間を惜しまない。そうすることで、体と心は変わっていきます」とありました。栄養価の高い、バランスの取れた食材を集めて、家族の為に、または自分自身の為に、心を込めて手間ひまを掛けて作るのが、健康にも精神衛生にも大変良い効果を生みます。。
 私も過去に鬱の一時期がありましたが、家族の為に料理を作ることは、とても精神衛生に良いことを身を以て知りました。料理をすると元気が出ました。家族が美味しいと言って食べてくれると、一層元気が出て、鬱からの脱却に役立ったと思っています。
 今でも夕食の支度に取りかかる時間が来ると元気が出ます。家族の喜ぶ美味しい献立を考えて、本を調べ、張り切って作ります。夫はそんなに手の掛かる料理は止めて、手軽に出来る献立にしてはどうか、と言いますが、趣味なんだから思うようにさせて、と頼んで何時も国籍不明に近く、美味しいかどうか自信の無い夕食を作り、恐る恐る供しています。 バナナが主食の人は、何を副食にするかと考えると、卵を焼いたり、サラダを付けたりはどうも考えにくいので、きっとせいぜい良くて牛乳というところでしょうか。それさえしなかったら、先ず100%骨粗鬆症予備軍です。
 テレビに出るキャスターという人達も、テレビ映像は少し太って見えるらしく、必要以上に痩せようとしているように思えます。
 スポーツ選手の女性は、みなピチピチと美しく、その美しさはまさに健康美そのものであって、内部から出てくるものだと何時もしみじみと眺めています。彼女達がバナナと水だけで朝食とは、考えられません。 飽食の時代にあって、栄養失調であるということは、いかにも痩せが美しいというどうにも納得出来ない価値観に囚われて、真に大切なものは何か、について無頓着な、貧しい心だと思います。昔より高学歴の人の多い時代で、決して学問不足のせいではないでしょう。流行に振り回されて、自分を見失った貧しい心が貧しい身体に表れていると言っても良いでしょう。
 最近雪が降りましたが、雪合戦をしている子供を目にしません。どこにも雪だるまもありません。少ない雪でも、雪さえ降れば、子供達は大喜びで外に飛びだし、雪を丸めて投げてじゃれ合っていた、あの無邪気な健康な心身は、何処へ行ったのでしょう。ピコピコと家に籠もってゲームをしているのかと思うと、暗澹たる気持になりますし、可哀想にさえ思います。そのまま成人したら、温かくも又冷酷でもあって、烈しく揺れ動く人間という社会の中を、生きて行くことは難しくなることでしょう。
 バナナだけがなぜ売れる、それはバナナが食事だからだという。何故痩せて栄耀失調で不健康な肢体を美しいと感じるのか。私にはどうにも理解出来ない価値観です。健康な肉体に、豊かな教養を身に付けた、他人を思いやる優しい心の持ち主ほど、美しい人はいないと、私は長い人生の中で自信を持って言えると考えています。
 新聞記事からそう思った日でした。

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