半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

一本の樹が遺したもの

2014年01月04日 | 素敵な本
昨年、東京で受けた「active hope」の中で生きるというワークショップの中で、さらりと出てきた「ジュリア・バタフライ・ヒル」さんという方の言葉になんとなくひっかかり、その方の本を年末に読みました。

ジュリア・バタフライ・ヒル著「一本の樹(レッドウッド)が遺したもの」です。


ジュリア・バタフライ・ヒルさんは、アメリカの20代前半の若いクリスチャンの女性です。
齢1,000年、樹高60mのレッド・ウッドというヒノキ科の大木の森が業者によって皆伐されているところに出会い、自然に呼ばれるように流れるようにルナと呼ばれる大木に登り、2年以上もの間、雨の日も、雪の日も、嵐の日も、ひたすら樹の上で暮らしながら皆伐の反対運動をして最後は永久保存の約束を勝ち取った、という内容をまとめた本です。

そもそも何十メートルもある樹の上で、2年間も暮らすということが、尋常ではなく人間がそんなことをできるのか、という話なのですが、この本にはこと細かく、その2年のことが鮮明に記載されています。

ルナという樹に出会い、登り、嵐や雪などの自然の猛威やその時にルナから受け取るメッセージ、また樹を切り倒す業者とのやりとり、反対運動の仲間達とのやりとり、人との交流、著者の熱い思いなどが、時系列で書かれており、「壮絶な2年間」を追体験できるような内容になっています。

そして、何より、「樹を守ること」以上に、著者の樹や自然や敵対する相手も含めた全てに対する「愛」が満ち溢れている本です。

嵐の中、50mも60mもの樹上の小さなテントの上で、振り落とされそうになりながら、気が狂いそうになりながら、自分の命を持っていってもかまわない、という心境にまでいたり、また樹からのメッセージに身を任せるシーン。

何とか樹からジュリアを降ろそうとする業者に対して「人として接すること」「愛を持って接すること」を貫き通した姿勢。


そしてそういった大きな愛、勇気、立ち向かう姿勢、意思を貫く力、といったことも素晴らしいのですが、そもそも樹の上に2年暮らすようになったエピソードが、とってもスピリチュアルで、大きな流れに身を委ねた人の辿る道を表しているのも、とても興味深かったです。

数多くの反対運動家が守ろうと「運動」してきた森の中で、樹の上で、ジュリアさんは、反対運動家としてではなく、1人の人間として、忙しい日々から立ち止まることで、レッドウッドの存在の偉大なことに気づき、近づき、まるで大きな流れに身を任せるように樹に自分を委ね、そこで深く深く自分の存在を溶け込ませていったのですね。

往々にして、反対運動というてデモとか集団の力などでやるのが多いのですが、そういった「敵対」することでぶつかっても、多くが戦い傷つき、擦り切れ、勝者と敗者に別れるものです。

そういった「反対運動」ではなく、敵対してくる相手に対して1人の人として語りかけ、コミュニケーションをとりながら、自分の意思、真実を貫く、そういった「在り方(being)」がとても多くの学びを与えてくれました。


いくつか印象深い文章を抜粋しますね。

・嵐で樹上で吹き飛ばされそうになり死ぬ思いを気が狂いそうになっているときに、樹から「がんばれば折れてしまう。今は頑張るのではなく、風は流す、やり過ごす、それが嵐を生き抜く道で、それが人生という嵐を生き抜く道よ」というメッセージを受け入れたシーン。

「嵐がやむと、私は執着をすべて、自分への執着も含めてみんな捨ててしまえば、誰も私にまさる力をもはや持ってはいないのだと気がついた。必要を感じれば彼らは私の命を持っていくだろうけれど、でも、あまりに多くの人々がやっているように、ばらばらになった社会に揺さぶられ、恐れながら人生を生きることは自分にはもうない。私はもっと高いところの源から、創造の神の源からの導きで、自分の人生を生きるのだ」


・樹の上で反対運動をしていることに対して、共感できない人には何と言うか?聞かれたときに対して。
「子供の目の奥をじっと見れば、あなたが今日ほんのちょっと我慢することが、子供の未来にとっては最高の贈り物になるかもしれないことがわかるでしょう」」

・クリスマスに大木ルナにともし火をともした時
「地球に残された最後の高齢樹の森や大自然を残してあげることより素晴らしい子供への贈り物がほかにあるだろうか?」

エコだとか、地球に優しい、といった商業的な言葉ではなく、大きな自然という存在に対してジュリアさんの真実を通した言葉がたくさん溢れています。


樹の皆伐反対運動をした方の本、というよりは、偉大な自然な流れに身を委ね、人はどうあるべきか、といった1つの事例として読むと、とても深くてパワーを得られる本だと思います
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