半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

減りゆく農家さん

2024年04月17日 | 朝取り野菜ボックスのお手紙

今週の「朝採り野菜ボックス」のお手紙です。

 4月後半に入り、田んぼが本格化しました。田んぼは早いとそろそろ田植えが始まるため、場所によっては代掻きが終わり水が張られ、田んぼが鏡面のように美しく空を映しています。

 畑の周辺ではキジのケーンケーンという鳴き声が聞こえますが、田んぼ近くはカエルのゲコゲコという鳴き声に包まれています。特に夜は辺りが静まりかえりカエルの大合唱が鳴り響きます。春の田んぼは昼も夜も美しく風景全体が映え、農村ののどかさと命の響きが感じられ、見ているこちらもとても気持ちが良くなります

 さて、今日は知り合いの農家さんのお見舞いに行ってきます。一昨年、軽度の脳梗塞でちょっとした手術をされた方なのですが、今度は胃の手術でした。年を重ねると気力体力の低下だけでなく、体のあちこちにガタが来ます。私の周りの農家さんのほとんどが70歳を超えていますが、私よりよっぽど体力があります。それでもやはり昔の通りと同じようには動けなくなってきていますし、病気なども増えてきます。

 もっとも、同年代の一般人に比べれば体力はあり、病気にかかる率が低いのは、やはり生涯現役だからなのでしょうね、とはいえ、やはり70代も半ば頃になってくると、長年仲間とやってきた有機農業を頑張るというよりは、自分の体や残りの人生を優先していこうと引退を考える人が増えてくるのは、当然なのかもしれません。

 また、暑い日には「大竹さんのトマトが食べたいな~」と思います。長いおつきあいのお客様は、数年前まで注文が出来た大竹さんのトマの味は覚えていらっしゃるかと思います。残念ながら成田空港の拡張工事でに引っかかってしまい、村全体で移転中です。

 地元農民に学生運動家がなだれ込んだ「空港反対運動」というのが昔はありましたが、ここ最近の拡張計画では村人のほとんどが農家ではなく会社員なので、「引っ越さなければいけないなら老後の住まいも考えなくてはいけないから早く決定してくれ」と村で陳情に行っていたそうです。村で唯一の現役専業農家だった大竹さんが「本当はここが好きなんだけど、しょうが無いよな」と寂しそうな言っていた顔が忘れられません。

 ちなみに工事を本格化する前に遺跡調査をするのですが、ここ2~3年の調査で、いわゆる旧石器時代、3.5万年前の遺跡が見つかっているそうです。有名な岩宿遺跡とほぼ同じ年代ですので、もし成田空港がなど無い超田舎であれば、観光地などにする事も出来たかもしれません。

 ちなみに、同じ村内にある福泉寺(「子ども電話相談室」などで有名だった無着成恭さんがいたお寺)の現住職のお話では、遺跡を残すなら土地の持ち主が個人で保護・保管しなければいなく、個人管理はとても無理なので結局は埋めてしまうそうです。

 高齢化や空港による移転、あるいは相場が崩れないサツマイモへの転換などで、この辺の有機農家はどんどん減っていっています。

 最近は農に関心を持つ若者が急激に増えていますが、論外の子が多いのです。10年ほど前も2~3年で立ち去る子が多かったのですが、それでも大地に根を下ろして頑張って行きたいという熱意がある子が多かった気がします。一方、今の子は農が格好良いという軽いイメージで乗り込んできて、口は上手いのですが畑を全くわかっていない、というか家庭菜園レベルさえ出来ない子が多いのです。

 今の価格で今の品質の無農薬野菜を継続して出荷が出来るみみずの会のような存在は、もう日本ではこれからは新たには生まれないのかもしれません。

 ますます国産の無農薬野菜の価値・値段が上がっていくのかもしれませんが、それはそれで自然の流れ。後継者がやっていきたいと思える農業になるなら、良い一面なのかも知れません。

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