半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

来年のお米の生産目標数が激減

2020年10月22日 | 仕事の中で

日本でお米よりパンを食べるようになって久しいですが、悲しいですよね~。

まあ、実際に田んぼ体験をしてその大変さをちょっとでも理解し、その上で頑張っている農家さんとふれあわないと、やっぱり食べ物を好き好みで選ぶのは、先進国の仕方が無いところもありますが。。。

そんな中で、農家の高齢化は進んでおり、田んぼの半分以上が飼料米、つまり牛さんのエサになって久しいのです。

田んぼに来て、「やっぱり田んぼっていいですね~」と言ってくれる方に、「そうですよね、でもこの見渡す限りの田んぼの半分は牛さんのエサ用で、人間が食べる主食用は半分以下なんですよ」というと、「え~」とびっくりする方が多いんです。

農業、あるいは食べ物、そしてお米についてどう考えるかというのは、教育次第というのがあると思います。

私も普通に学校に行って会社員となって、という時は、「食べ物は食べ物でしかない」という認識でした。

ところが、「農村コーディネーター」という仕事をしてから、そして日本の歴史を学び、伝統文化に沿った生活様式がいかに理にかなっているだけでなく心の平静をもたらすか。

そういった立場でいうと「田んぼは日本の文化そのもの」という意識が生まれます。

歴史的に言えば、「瑞穂の国」と言われ、日本では神様も高天原で田植えをしていますし、天皇陛下も田植えをしています。

世界で「国家」が成り立つには、やはり穀物、つまり財として蓄えられるものが現われるのが必須で、南米などはトウモロコシ、北の方は小麦、そしてアジアはお米、というのがあって、初めて国家が生まれました。

そして、日本人だけではないですが、みんなその地域の田んぼや畑は生きる糧で、特に1度収穫したら「これで1年間、食っていける」という安心に繋がるお米でした。

戦後も農村では貨幣よりお米が物々交換の主で、高柳さんのお話だと「昔は大工の棟梁の1日仕事は米2升だった」というのです。

そして、ワラは全てをまかなうものでした。

野菜は今はビニール袋に入って売られていますよね?

じゃあ、ビニールが無かった時代はどうだったのか?

73歳の農家さんに聞くと「昔はワラを編んで、それに包んで売っていたんだよ」とのこと。

ワラの葉っぱをとった「すぐりワラ」を入れた布団や「何とも気持ちよかったんだぞ」という言葉も。

田んぼが終わった後の「冬の仕事」は、ひたすらワラを編んでいたそうです。

 

そして、よく言われますが、田んぼがあることで様々な生き物が命をはぐくめますし、ダムのような役割や水を浄化する役割もあります。

高柳さんが「都市は消費するだけ、汚すだけで、水も食べ物も空気も全て生き物が必要なものは農村で出来る。そのことを農村の人は誇りに思うべきだし、都市に住む人も農村あっての都市だということをわかって暮らして欲しい」と言います。

そして、田んぼを実際にやってみると、本当に大変なんです。

高柳さんが「田んぼをやってみればわかるんだよ。本当に大変なんだ。それをまだ機械が無い時代に、どっかの誰かが人力で開墾して田んぼを作った。それを後世の我々が使わせてもらっているわけだよ。そう思うと、感謝して使わせてもらわないといけないし、後世に少しでもきれいな状態で渡していかないといけないと思う」と言います。

農家で田んぼをやっている人の過半数は、赤字でやっています。

でも「先祖代々の田んぼだから、荒らすわけにはいかない」という思いでやっているんです。

自分のため、ではなく、お父さん、あるいはお爺ちゃんが苦労している姿を見て育った、あるいはそういった話を聞かされて育った。

しかし、今は機械化され、田植機、稲刈りのコンバインは1年で数週間しか使いません。

その時期の仕事なので、近所や親戚で使い回しがなかなか出来ません。

田植機で150万、コンバインで300~1000万、乾燥機、籾擦り機、精米機など入れると、大変なお金です。

平均年齢が70歳になった農家さんが、今さら何百万の借金をしてやりようがない。

今、急速に田んぼが荒れています。

そんな中で、それ以上のスピードで米離れが進んでいます。

 

日本農業新聞を見たのですが、来年はさらに「減作」を農水省が指示しました。

具体的には、農水省は需供のバランスを踏まえてお米の生産目標を掲げ、それを踏まえて農家は大豆や飼料米に転作しています。

2010年の人が食べる主食米は800万トン超だったのが10年後の今年は730万トンほどと、1年で平均7万トン減っていました。

ところが、さらにご飯離れが進んでいる事で、来年は一気に50万トン減らすことになりました。

これは「過去最大の下げ幅」という事で衝撃が走っています。

食べ物は人を幸せにしますし、今は空前の肉ブーム、食パンブームです。

それは娯楽ですが、本来の「命を全うするための食事」では無いですよね。

 

ただ、分野は変わりますが、良い話もあります。

日本の食糧自給率は38%ですが、木材は自給率が年々上がってきて、ついに木材自給率が39%となり、食糧自給率を超えた、という記事も日本農業新聞に載っていました。

食べ物もどこかでそういった転換が起きて欲しいものです。

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