半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

生産現場と流通(消費者)のギャップ

2017年02月07日 | 仕事の中で
徐々に有機農業農家さんの引退が始まりました。

一般の市場に出す農家さんは育った分を出荷します。
作る作物もそれぞれです。

サツマイモと人参を作る方もいれば、葉物を作る方もいます。

自分の都合にあわせて、体力や好みにあわせて、あとは収入をどれで得るか、という考えです。

最近はニンジンがべらぼうに高くなったので、人参を連作でつくる方も出始めました。

あくまで経済作物ですから、それはもちろん自由なのです。


一方で、有機農業をやっている農家さんは、取引先と半年先の出荷計画をすりあわせます。

例えば、今だったらそろそろ7月のミニトマトなどの出荷量をすり合わせしなくてはいけません。
種蒔きは今月下旬には始まるからです。

取引先の要望に応じて、仲間同士で何を作るか係を決めます。

そして、毎日注文が入った分を出荷します。

これは仕事としては本当に大きな差ですよね?


出来た分だけ出荷する市場出荷。値段は売ってみないとわかりませんが、仕事としては楽です。

それに対し、毎日注文が入り、それに合わせて袋詰めなどをする仕事。値段は年間を通して固定ですから先読みはしやすいですが、毎日、毎日、雨が降ろうと風が吹こうと出荷しなくてはいけません。また、最近は相場が一般の野菜の方が高い、なんていう逆転現象も起きています。

そんな中、知り合いの農家さんで70歳になった方が、有機農業から引退をしたいと言い出しています。

相場には振り回されませんが、仕事としては大変な出荷体系についていくのに、体が大変になってきたからです。

一方で、2020年のオリンピックに向けて、行政から「有機JASや国際規格のGAPを取りませんか?」という案内が来ています。
急きょ高まった需要に対応できないので、国が取得費を全額援助するという事業を始めているからです。

でも、農家のみなさんは冷静です。

「オリンピックが過ぎた後はどうするんだ?」「今まで以上に欠品は許されない、ということになるんだろう?」。

農業は天候次第です。しかし流通側は「欠品は許さない」という姿勢です。

「欠品は許されないから注文予定の倍を作付けして、余った分は自分で売ってくれ」というのが某大手生協の担当者の言葉です。

生協でさえそうですから、大手流通では欠品をしたらクレームです。

有機農業の「生産者も消費者も同じ生活者だ」「1年を通して値段は変えなず、お互いに生活を支え合って行こう」という精神とは程遠いのです。

単に「安心・安全」というものではない所にある有機農業の精神は、流通からは無くなり、農家さん達だけのものとなっています。

そんな農家さん達も、そろそろ引退が始まっています。
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