Con Gas, Sin Hielo

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「パッセンジャー」

2017年03月25日 23時54分48秒 | 映画(2017)
宇宙は荒唐無稽に溢れてる。


人工冬眠から90年早く目覚めてしまった男女の物語って設定はおもしろそうなのに、先に公開された北米ではえらく評価が低い本作。

百聞は一見に如かずで観てみたが、原因がはっきり分かった。

良くできたSF映画は、元々作り話であることを承知の上にも拘らず、「とんでも」な部分をもっともらしく見せることに長けている。

しかし本作は肝心なところで微妙に外してしまっているのだ。

例を挙げればきりがないが、クライマックスの極限の危機にど素人の2人が立ち向かっていく下りはあまりに無茶な選択だし、なんでもいいからとにかく蘇生をという場面はもはやコメディであった。

主人公であるジムとオーロラの関係も否定する人は多いだろう。不道徳な出会いもさることながら、一度冷え切った後の展開はちょっとあり得ないのではないか。

とは言いながら、個人的には結構面白く観ることができた。不道徳の部分は意外性に驚かされたし、J.ローレンスが全篇通して体を張っていたことも大きい。

また、少しずつ変調を示す宇宙船の描写は興味深かった。機械のちょっとしたバグが重篤なエラーの予兆であるというのは我々の日常と同じなのだが、そう考えると120年もエラーなしで自動運転なんて相当な無理筋と思わざるを得ない。もう一度人工冬眠に入っていいよと言われても、おちおち寝ていられないのが正直なところだ。

無理筋が出発点なのだから、まあ荒唐無稽がどれだけあったとしても割り切ってしまえば結構許せるものである。「タイタニック以来」を盛んに宣伝に使っていたからどうなることかと思っていたが、好き嫌いでいえばこちらの方が好きかもしれない。

歴史に残るなど大層なことは期待せずにお気楽な娯楽映画だと思って臨めば、支払った料金分は楽しめる作品である。

(75点)
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