私家版 宮城の野鳥フィールドノート since 1976

掲載していなかった記録をアップし始めました。あっという間に1年が経ってしまうので。今シーズンの鳥の海の記録も。

2010年3月6日(土) 羅臼シマフクロウ

2010年04月11日 | 北海道
■2010/3/6(土)20:00-26:30【天気】吹雪時々晴れ 観察撮影時間 3/7 0:22:31~0:25:44 3分13秒
【場所】羅臼町民宿「鷲の宿」
【種名】シマフクロウ成鳥♂1(1科1種)
【メモ】事前に「鷲の宿」とシマフクロウの情報をウェブで調べたところ,ここは撮影と赤目防止に2灯,3灯とセッティングしたストロボで撮影する場所ということがわかった。その日は自分を含めて4人の客だったが,皆本格的にストロボのセッティングをしていた。夜中にシマフクロウが来るとストロボ大会になるのだと思うと気が重かったが,まあ,あとは2度とやるまいと思いつつ,夜を待った。この日のために日頃は全く使わないストロボをヨドバシカメラで購入し,説明書を読んだが,よくわからず,早い話が赤目防止にストロボを別角度からスレーブ発光させて,反射光が直接カメラに入ってこないようにすればいいというのがわかった。直接光が網膜に入れば眼底検査と同じことになるわけだ。しかし結局は赤目覚悟で,カメラに載せて撮ることにした。連写とAFの試し撮りを何度かしたが,そもそも照明用ライトがあるのでAFもOKだった。距離が近く,被写体も大きいので400mm望遠では全部入らないことが予想されたので,ズームの焦点距離を275mにした。
 連泊している方のお話では22時頃来るということだったが,夕方鳴き声がしたので,20時から車で待機することにした。ところが外は次第に吹雪となり,とてもシマフクロウが来る状況ではなくなってきた。おまけにこの風は国後島の方へ吹いているので,流氷もさらに国後側に行ってしまうことが容易に予想された。他の方々は車のエンジンをかけて暖房をしていたようだが(ここではそれが常識らしいが),自分はただでさえストロボを使うことに後ろめたさがあったので,寒いのは我慢して待つことにした。
 ところで,餌のヤマメは夕食後,生け簀から網ですくって渓流の真ん中の生け簀に入れたもので,あまり入れると食べ過ぎて来なくなるということだったので,4,5匹にした。そして今,寒い車の中でこのヤマメを食べにやってくるシマフクロウを待っているわけである。23時頃,吹雪がおさまり,来るかもしれないと思って期待したがちっとも現れない。ふと川と反対側の建物を見ると,戸の下あたりに黒い細長いものが動いている。それがやがて川の対岸にやってきて,雪に覆われた岸を動いている。クロテンかと思ったが,後で聞くとミンクということだった。
 12時を回り,また少し風が出てきて,今回はもうだめかと諦めかけ,家内から持たされたプリッツやカロリーメイト,楽天イーグルスのパッケージの柿の種など全部食べ終えて,明日(今日)も早いしと思い,車を出ようとした瞬間,上流からシマフクロウが飛んできた。近いし,ライトアップされているのでその大きさがよくわかる。生け簀から3mくらい離れた木に止まり,そこから生け簀の脇にすっと降りると,ぱっと飛んで池にほとんど音もなく入り,瞬間2匹のヤマメを掴んで,生け簀の脇に降りて食べ始めた。1匹が川に落ちて逃れたのをちょっと惜しそうに川面を眺めていたが,気を取り直したかもう1匹を頭から丸呑みした。足を見ると,かなり密度が高い羽毛に覆われているのがわかった。とにかく大きく,でっかい猫か小トトロのような鳥で,威厳もあるがとてもかわいい感じもした。その後,上流に向かって飛んでいったが,まさに興奮冷めやらぬ状態だった。
 その後,2時間ほど待ったが来なかったので,宿に戻ったが,30分くらいしてから♂♀で来たということだった。きっと♂はこんな吹雪で寒い日は,行きたくなかったはずだが,♀のかみさんにあなた,行ってきなさいと言われてしぶしぶやってきて,1匹だけ食べて戻ったが,じゃあ,私も行くからもう一度行きましょと催促(命令)されてやってきたのだろうと,2回クルーズでご一緒したI氏が語ってくれたが,まさにそういう状況だったろうと思った。
 寒い中,6時間30分待って,出会えたのが3分13秒だったがすばらしいの一語に尽きる。デジタルビデオにも一部始終を撮ったが,何しろストロボの嵐で,とても見せられたものではない。
 夏,冬と今シーズン2回餌付けされたシマフクロウを見る機会があったが,本当にシマフクロウを見させていただいたという感じがする。民宿では,いろいろ羅臼町の今昔についてお話を伺ったが,水産資源の枯渇問題はここ知床の地にもあるのだった。
【写真】EOS7D+EF100-400mmLIS+SPEEDLITE430EXⅡ ISO400 1/60 プログラムAE
  
■生け簀の脇に立ってヤマメを狙う。
  
■せっかく翼を広げて生け簀に入った瞬間を撮影したのだが,頭に岩でごつんという感じの写真になってしまった。
  
■2匹のイワナを掴んだのだが,食べているうちに,一匹川に逃げられ,ちょっと考え込んでいる感じ。
  
■生け簀に飛び込み,イワナを捕まえ,食べるのも一瞬だった。
  
■一匹だけ食べ,また捕まえるということはしなかった。
 
■上流に向かって飛ぶ。


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2010年3月6日(土)春国岱~羅臼,流氷クルーズ

2010年04月11日 | 北海道
■2010/3/6(土)5:00-17:00【天気】晴れ
【場所】春国岱~羅臼
【種名】ウミウ,ヒメウ,ホシハジロ,スズガモ,シノリガモ,コオリガモ,ウミアイサ,トビ,オジロワシ,オオワシ,タンチョウ,ユリカモメ,オオセグロカモメ,ワシカモメ,カモメ,ハシブトウミガラス,エトロフウミスズメ,エゾアカゲラ,ハシボソガラス,ハシブトガラス(8科20種) ゴマフアザラシ
【メモ】朝の4時30分に起床して,路面が凍っている根室市内を5時に出発して,羅臼に向かった。天気はよかったが,何しろまだ多少とも暗く,道路はシャーベット状だった。春国岱の橋にさしかかると,前回と同じ場所にタンチョウが2羽いた。一方は足輪をしているが一方はしていない。遠いので番号を確かめるすべはなかったが,とても美しい光景だった。10時羅臼漁港出港なので,途中,鳥を見つつ行くとすると先を急がねばならず,予定していたネイチャーセンターや走古丹はカットせざるをえなかった。3年前に同じコースを2月下旬に通ったのだが,そのときは雪があまりなく,小鳥もかなりいたが,今回はここ数日で降った雪がかなりの量で,どこを見ても鳥の姿は少なかった。そこで,一気に尾岱沼まで走ったが,この周辺もあまり鳥はいなかった。そのうちSNCから電話が入り,流氷の具合が悪く,出航してもワシの群れが見られる可能性はほとんどないということだったが,すでに,あと1時間も走れば羅臼なので,今更根室に引き返すわけにもにもいかず,また,今通ってきた状況からすると,あまり小鳥類も期待できないことから,そのまま行くことにした。ただ野付半島には寄るつもりだったので,中標津から野付半島のフラワーロードをネイチャーセンターまで行ってみたが,特に何もいない状況だった。Uターンしてあとはひたすら羅臼を目指して走った。9時前には羅臼に到着し,宿泊予定の鷲の宿に行ってみると,オーストリアから来たという青年が,すばらし光景だったと「英語」で話していたので,何とか話をすることができた。朝,ワシ船に乗って堪能したのでSNCの船には乗らないと言っていた。それから民宿前の小川(本当に小さい川で,これまた小さな生け簀があり,ここにシマフクロウが来るらしい)を見て,これは楽勝だと思った。
 そろそろ時間になったので,港に行くと,SNCのメンバーが出航の準備をしていた。キャプテンはというと,丘の上で流氷の様子を観察しているとのことだった。しばらくしてキャプテンの長谷川氏がやってきた。流氷は国後側に行ってしまい,国境の向こうということで,標津川沖方面に行ってみるとのことだった。ワシは全然期待できないが,流氷を見たいというお客さんもいるということだった。自分としては,もうこうなれば海鳥が見られればいいということで,ウミガラス狙いに気持ちを切り替えた。出航して,知床岬とは反対方向の標津方向に進む。ハシブトウミガラスが多い。オオワシ数羽がかなりの上空を飛んでいた。そう言えば,3月に入り,ワシがどんどん北帰しているという話を聞いたが,あのワシたちもそうかもしれないと思った。iPhoneのマップアプリで見ると,船は国後島と知床半島のちょうど真ん中あたりの海域を標津方面に向かって進んでいるのだった。そのうち前方に流氷原が見え,コオリガモが1羽飛んでいった。ツチクジラも姿を見せた。流氷原に到着するが,ワシのかけらも見えない状態だったが,流氷の間を上手に操船しながら少しずつ流氷原の中を進んでいった。砕氷船ではないので,流氷の塊の間に舳先を入れ,押し,間を開けて進むという繰り返しで,すごい操船技術だ。しばらく進むと,向こうにゴマフアザラシが寝そべっているのが見え,そちらに近づいていった。さらに国後島を背景にオオワシが2羽ほどいたが,かなり遠かった。これ以上進むのは難しいということで引き返した。この頃になると,海はべた凪状態になっており(夏に来た時もそうだったが),ハシブトウミガラスの群れが次々に現れた。この鳥は,船が来るとすぐ潜ったり,ばたばたと走って逃げていくので,船の後ろにぷかぷか浮かんで餌をねだるフルマカモメのようにフレンドリーではないが,それでもかなり近くにいても逃げない個体もかなりいて,目の前でかなりの数を見ることができたのだが,何しろピントが合いにくい鳥だった。概数で230羽+ほど観察することができた。またしてもワシ船にはならなかったが,流れ氷上のオオワシや,この風景全般に感動した。やはり船に乗ってみないとわからないものがたくさんあった。iPhoneのマップの中,根室海峡を船が進んでいくのを見て国境ということを本当に意識したし,国後島はけっして遙か遠くでは,目の前にあった。長谷川キャプテンの話では,沖縄本島より大きいということだった(あとで地図で見ると確かに沖縄よりも確かにずっと大きい)。巡航中,何度か国境という言葉を聞いたが,国と国との間には厳然とした国境があると実感すると共に身の引き締まる思いがした。
 下船後は,まだ明るかったので,近辺をワシ探しに車を走らせたが,数羽のワシしか見つけられなかった。あと1,2週間早ければかなりの羽数がいたのだが,このように実際,羅臼にいるべき鈴なりのワシがいないと,当たり前の話だが,やっぱりこの時期になるとワシは羅臼といえどもいなくなるものだと,ただただ思うのだった。(夜の部に続く)


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2010年3月6日(土)春国岱~羅臼,流氷クルーズ

2010年04月11日 | 北海道
2010年3月6日(土)春国岱~羅臼,流氷クルーズ
【写真】
  
■春国岱のタンチョウペア/風蓮湖付近のオオワシ成鳥/春別川のタンチョウとカモ類
  
■電柱に止まっているオジロワシ成鳥/オオセグロカモメ/シロカモメ成鳥冬羽
  
■羅臼岳/流氷上のシロカモメ・オオセグロカモメ/コオリガモ成鳥冬羽の飛翔
  
■国後島まで続く流氷/流氷上のゴマフアザラシ
  
■シロカモメ成鳥冬羽/国後島をバックにオオワシ成鳥
  
■流氷上のオオワシ成鳥/知床連山を背景に流れ氷上のオオワシ(お気に入りの写真)
  
■知床連山を背景に飛翔するオオワシ成鳥
  
■羅臼岳/ハシブトウミガラス。生殖羽になっている個体や非生殖羽で喉の濃淡が異なるものなど様々な個体がいた。
  
  
  
■流氷原からの帰りは行きよりもハシブトウミガラスの群れが多く出現し,どこを見てもハシブトウミガラスという状態で,最初珍しがっていた観光客もしまいには飽きていた。
  
■ハシブトウミガラス非生殖羽。とにかくピントが合いづらかった。/羅臼のオジロワシとオオワシ


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