(冒頭写真は、朝日新聞愛読者プレゼント “アンリ・マティス色彩の魔術師”シリーズ より 「マグノリアのある静物」。)
朝日新聞“愛読者プレゼントアンリ・マティス“色彩の魔術師”シリーズも残すところ後2回となった。
今回のシリーズは「赤」色コレクションのようだ。
「赤」といえば、この私も子供の頃は一番好きな色だった。
ところが何を考えたのか、我が親が私に買ってきたランドセルが「黄色」だったのだ。 これには驚かされて、「何で赤でなくて黄色にしたの??」と親を問い詰めたものの、ノーコメントだ。
まあおそらく珍しい色のランドセルが売れる時代ではなく、売れ残った「黄色」を値引き販売していたのであろう。
ただ、当時はそれで“いじめ”に遭ったりすることもなく、無事に6年間黄色ランドセルで通学したものだ。
さて、マティス作品に話題を戻そう。
まずは、「マグノリアのある静物」。
明瞭な色彩を使用した分かりやすい、といえばよいのか、端的な作品であろう。
早速、東京大学大学院・神津有希氏による解説を要約しよう。
マティスは長い画業の中で赤色を用いた印象的な作品をたびたび制作しているが、1941年に描かれた本作もその1点である。
マティスは本作の制作過程を写真に記録しており、当初はテーブルの端を示す線や影のようなものが描かれていた。 しかし、完成作では画面の単純化が進み、個々のモチーフが浮遊しているかのように仕上げられている。 色彩家として知られているマティスの洗練された造形感覚を伝える魅力的な作品である。
マティスは45~46年に撮影されたドキュメンタリー映画のインタビューでお気に入りの作品を聞かれた際に本作を挙げ、「力の限り尽くしたと思う」と述べている。
(以上、神津有希氏による解説より一部を引用したもの。)
私見だが。
ほーーーー。 そうだったんだ。 マチスさん自身が一番のお気に入り作品だったのね。
余談だが、我が「原左都子エッセイ集」に於いても自分自身でいたくお気に入りのエッセイと、駄作だなあ…と思いつつ公開したものがある。(参考だが、私の場合は自分が納得できない・気に入らないエッセイに関しては絶対に公開しない主義だ。 その場合、大抵は途中で書くことに嫌気がさして即刻没とすることが多いのだが。)
ただ年月が経過して読み直すと、当時駄作と自己評価していたものの中にもポリシーが光っていたりするエッセイもあり、それらを再掲載ものとして後に取り上げることもある。
次なる作品は、こちらの「大きな赤い室内」だ。
この作品は、当該“色彩の魔術師”シリーズの“目玉作品”の位置づけになっているようで、専用ファイルの表紙にも取り上げられている。
私の趣味としては、上記の「マグノリア…」よりもこちらを好むのだが。
再び、神津有希氏による解説の一部を引用しよう。
室内画は、マティスが生涯にわたって取り組んだ重要なテーマである。 1948年、78歳の時に制作された本作は、画家の最後の室内画となった。
画中上部に描かれた2点の画中画は、いずれもマティスの作品。 右側は油彩の「パイナップル」、左のモノクローム作品は墨による「椰子の見える窓がある室内」である。
伸びやかな黒い線で描かれた個々のモチーフは、鮮烈な赤色の中で確固たる存在感を放ち、線と色彩が見事に融合した作品である。
本作はマティス50年にわたる油彩画制作の集大成となった。
(以上、神津有希氏による解説より一部を引用したもの。)
そう言われてみるに、挿入画2点はマティスの展覧会で見た記憶がある。
私の場合も「原左都子エッセイ集」に於いて、自作のバックナンバーを引用する機会がよくある。
エッセイ本数が2700本を超えると、時代を超越して我が思想が一貫していることによりこの行動も必然と言えよう。
アンリ・マティス“色彩の魔術師”も残すところ、後1回のみだ。
ラスト作品は如何なる2枚の名作が届けられるのか、朝日新聞さん、楽しみにお待ちしております!