原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

ウィーン旅行記・総論 - 一期一会の出会い編 -

2019年07月18日 | 旅行・グルメ
 (写真は、ウィーン国立歌劇場前広場にて撮影したもの。 本文とはさほど関係がありません。)



 今回のウィーン旅行に於ける“一期一会”の出会いに於いて一番のネックだったのは、ウィーンには日本語が話せる人がただの一人もいない、と終結出来る事実ではあるまいか?


 いえいえ、たった一人、日本語が話せる人との出会いがあった!

 到着1日目の事だ。 ウィーン地下鉄駅舎窓口で買い求めた「ウィーンカード」を初めて使用せんと志したが使い方が分からない。 これに関しては当然ながら駅の窓口で英語にて訪ね、理解出来た。

 そのウィーンカードをチェックイン機に差し込むとの作業をなさんと娘とあれこれ迷っている時に、ホームから降車してきたウィーン人と思しきご婦人とぶつかってしまった。 
 我が口から咄嗟にでたのが、英語の“sorry!” それに対するご婦人からのご回答が、“never mind."
その後咄嗟に「急いで!」との日本語でのアドバイスがあった。 
 これ、我々に対する素晴らしい一言だった。(それにしても、何故我々が日本人だと分かったのだろうか??に関しては今尚不明…)  要するに、「次の電車が来ているから急ぎなさい。」との意味だったのだろう。 そのアドバイスに従いホームへ急ぎ、電車に乗る事が叶った。

 ウィーンでの日本語にてのコミュニケーションは、これが最初で最後だった。 
 後は、英語にての“一期一会”に限られる運命にあった。
 と言うのも、ウィーンではドイツ語(の派生語)が一般的であり、街中で英語をしゃべるのは旅行者及びそれに関連した業者の担当者に限られている故だろう。


 そういう訳でこの度の“一期一会”の出会いは、英語力ありき旅行関連の担当者氏に限られたのだが。


 ホテル到着後すぐに我々母娘に接してくれたホテルのポーター氏がとても親切だった事に関しては、既に述べている。
 何故このポーター氏が我々に親切だったのかを語ると、その場に我が母娘しかいなかった故だ。
 ホテルへの早い時間帯の到着だった我々に対し、誠心誠意対応して下さった。 我々が「スーツケースから傘を出したい」とスーツケースをポーター氏に預けるに際し英語にて伝えると、「どうぞ!」と言わんばかりにその時間お待ち下さったのだ。
 そして傘を出し終えて再びスーツケースを預けようとした時に、「ちょっと待って」と英語にて伝えると同時に、我々に“黄色の包み紙のチョコレート”を手渡してくれたのだ。

 その後15時前にホテルに帰った私達をきちんと覚えていて下さり、フロントにてのチェックイン後もご親切に部屋までスーツケースを運んで同行下さった。
 その間英語にて会話が弾んだのだが、彼が尋ねるには「東京ですか?大阪ですか?」だ。 東京はともかく、今や“大阪”も(20サミットが開催されたばかり等々の理由により??)世界に名を売っている様子だなあ。


 その翌日のことだが。

 地下鉄にてウィーン中心部のカールスプラッツ駅を目指したところ。
 何とまたもや米国の二の舞で、途中“工事中”とのことでバス振替輸送に引っかかってしまった… (こんな不運は我々のみだろう。)と思いつつ、既に昨年の米国にて慣れ切ってもいる。 (参考だが、大都会東京メトロ沿線に長年住んでいる我々だが、東京メトロ線が“バス振替輸送”など実行する事は“天と地がひっくり返っても”絶対にあり得ない!!)
 要するに諸外国の地下鉄とは、振り替え輸送が出来る程にゆったり運営しているのであろう。

 で、その“振替輸送”に手間取りつつ、娘と二人で駅の「地下鉄路線図」を眺めながら喧々諤々と今後の対策を練っていた時のことだ。
 駅係員氏が我々に近づいてきて、英語にて訪ねて下さる。「どちらへ行くのですか?」
 我々応えて「カールスプラッツ駅へ行きたいのですが、その場合この路線に乗り換えて……」
 と言い始めたところ、「バス輸送にて直行でカールスプラッツ駅へ行けます。」と言い放って下さった。 それに半信半疑の私がそれが真実か否かを問い詰めると、「必ず行けます!!」と宣言して下さり…  我々はバス振替輸送にて、無事にカールスプラッツ駅へ到着することが叶った。

 その帰り道も大変!
 初めての人間にとっては、同じルートでも逆方向はその風景が大幅に違ってみえるものだ。
 今度は、娘が「あのバスが振替輸送のバスだ!」と訴えるのだが、私はそれは違うと疑った。
 そこで娘が言うところのバスの運転手氏に、振替輸送バスがどこから発車しているかを私が尋ねたところ。 何とわざわざ運転手氏が我々のためにバスから降りて、振替輸送のバス停留所まで案内して下さったのだ! 
 この時ばかりは、これがためにそのバスの発車時刻が遅れたことを内心詫びたものだ。


 それから、ホテルのレストラン係員氏にも大いにお世話になった。
 2日目はウィーン国立歌劇場にてオーケストラコンサートがあった都合で、ホテルへの帰りが大幅に遅くなってしまった。 
 当該レストランの閉店時間が22時20分だったにもかかわらず、我々2人のために時間を延長して店を開けて下さると共に、写真撮影までも快くして頂き、楽しい食事時間を過ごすことが叶った。

 
 あっ、そうそう。
 ウィーン国立歌劇場の座席係員氏にも大いにお世話になった。
 何分大劇場だ。 座席が分かりにくかった我々に懇切丁寧に座席までご案内いただけた。


 まだまだあったかもしれない。

 この場で大変お世話になった事に感謝すると同時に、多少英語が話せる我々にとって、ウィーンに於いて貴重な“一期一会”の出会いだったことをお伝えしたいものだ。



 p.s.

 明日以降、「ウィーン旅行記 各論」に入ります。 
 

ウィーン旅行記・総論 オーストリアの難民・移民問題は?

2019年07月18日 | 旅行・グルメ
 (写真は、メルク修道院の中庭にて撮影したもの。 今回のエッセイ内容とは無関係です。)


 
 昨夏我々母娘が米国西海岸へ旅した際、到着直後に米国が抱える「移民・難民」問題を直視させられるはめとなり、大いなるショックを受けたものだ。
 (その様子を、2018.08.30付バックナンバー「米国旅行記 -移民・難民激増で大変貌した米国-」に於いて公開しておりますので、よろしければご覧下さい。)

 その内容を我が記憶に頼り、少しだけ再掲載するならば。

 米国のホテル到着直後に近くのハンバーガーチェーン店へ立ち寄ると、どいいう訳か店内が“難民”と思しき浮浪者達で溢れている。 その中の一人が店内に入った私にすぐさま近づいてきて「1dollar.」(“1ドルくれ”、と言ったところであろう)と物乞いをしに来る。 突然のことで訳が分からず戸惑った私に対し、浮浪者は残念そうに私から去って行った…

 そういえば、行くところ行くところの街々に“難民”と思しき浮浪者が溢れ返っている。
 ホテルやスーパーマーケット等の労働現場を見ると、必ずや底辺労働者は“移民”の様子であり、すっかりと労働階級が出来上がってしまっている。
 
 過去に我が19歳時及び30代に訪れた米国は、決してこんな事はなかった。 米国は元々多国籍国家であるため当然“人種のるつぼ”状態ではあったが、これ程の階級差を見なかったものだ…。

 この昨夏の米国旅行時の“人種による歴然とした階級社会”の様相が我が脳裏に明瞭に刻み込まれていたため、今回のウィーン(オーストリア)では“難民・移民”対策が如何に成されているのかが、大いなる関心事だった。


 さて、そのウィーンだが。

 街で浮浪者を見かけることは皆無だ。 そのせいもあり、街がとても美しい。
 しかもホテルやレストランや一般店舗等々でも、米国のような歴然とした“労働階級”を見る事はなかった。 ホテルのベッドメイキング女性達が全員有色人種だったのは事実だが、その方々も英語での応答が流暢で何らの不都合も無かった。


 オーストリアの“難民・移民体制”に関し、調査をせずして旅に出掛けてしまったが。
 遅ればせながら先程ネットにて少し調査をしてみると。
 やはり、オーストリアでは近い過去に於いて「極右政権」が幅を利かせていたようだ。 そのため“難民受入れ”を拒み続けていたとの情報もあった。

 ネットより、その類の情報を以下に紹介するならば。
 (2017年時点の情報だが)、オーストリアには独伊に到着した2千人の難民の受け入れ義務が突きつけられているが、ケルン首相はオーストリアは欧州へ入る移民の通過する途上にあり、不法越境を行った多くがそのまま国内に留まっていることから、ノルマ以上の受け入れをすでにこなしていると主張している。オーストリア通信が報じた。 欧州委員会のアヴラモプロス内務担当欧州委員は、EU諸国に対して9月末までに独伊からの難民の受け入れの遂行を呼びかけている。
 (以上、2017年のネット情報より引用したもの。)


 話題を変えてつい最近見たテレビ報道によれば、米国大統領トランプ氏が“筋金入り”の「白人主義」を貫き通そうとし、有色人種女性政治家相手に「この国が嫌なら自国へ帰れ!」と無茶苦茶発言まで繰り広げる始末。 実に驚かされるばかりだが。
 それでは我が国はどうなのかと振り返ってみたところ、新聞報道によれば外国人の人口がやっと2%になったとの事だ。


 確かにウィーンの街は美しい。 
 ただそれが現在世界が抱える「難民問題」に国家政権が反逆してまでの結果だとした場合、この一見美しさの裏側には大いなる歪みが潜んでいるとの事実なのだろう。

 我々旅行者にとってウィーンはまさに実に美しくかつ快適な国との表面での印象だったが、それで済まされない側面も見る思いでもある…。