原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

オープンキャンパスへ行こう!!

2010年07月20日 | 教育・学校
 高校が夏休みを迎える前後の盛夏のこの時期に、毎年全国の大学において受験生のために大学を解放する“オープンキャンパス”が開催されるようである。

 現在高2の我が家の娘の場合、高校入学時点から早くも大学での専攻分野が決定していたため、既に昨年夏から娘が目指すべく大学のオープンキャンパスに親子で参加している。
 まだ年端もいかない我が子一人が表向きの大学を見学しただけでは判断材料が乏しいと考え、過保護は承知ながらも昨年から娘に付き添って(と言うよりも、むしろ親の私の方が意欲的に)我が子の大学選択のために積極的にオープンキャンパスを利用している我が家である。

 我が家の娘の場合、昨年の夏時点で既に第一志望及び第二志望大学が決定していたため、昨年のオープンキャンパスはその2大学に集中して訪問し、納得いくまで制覇した。


 今年は残りの第3希望以下の大学を娘と共に訪れた。
 
 首都圏の大学は、既に私が大学受験した時代より都市部から多摩地区や相模原地区等への郊外移転が相次いでいる。 都心に住む我が家の場合、一部の例外を除き何処の大学へ行くにも電車を3、4本乗り継いでそしてバスに揺られて片道2時間以上の時間を要する有り様である。 梅雨明け以降35℃前後の猛暑が続く中この“長旅”は老体にとって重労働であるが、日焼けも物ともせずに娘に同行した私である。


 私が大学受験の頃にはこのようなオープンキャンパスは元より、大学の説明会も大学が発行するパンフレット類さえもなかったように記憶している。 もしかしたらそれは私が単に田舎者だったからであり、しかも国立大学のみを受験ターゲットにしていたからなのかもしれない。 私の場合、志望大学を訪れたのは3月の国立一期、二期受験本番時が初めてだったものである。

 現在は少子化に伴い大学間の学生獲得が激化している背景もあって、何処の大学も少しでも優秀な学生の確保のために様々なイベントの開催に躍起になっている現状であろう。
 受験生側としては、このような機会を有効利用しない手はない。 大学に関する情報を得る手段は多様化している現在と言えども、やはり実際に志望する大学を訪れて自分の目で耳で情報を得るのが、一番手っ取り早い情報収集ではないかと私は感じる。


 今回我が親子が訪れた娘の第3希望の大学が予想以上に“好感度”であった。
 オープンキャンパス全般に関して自由見学できる大学の施設設備や展示が、我々のような素人受験生親子にも分かり易いように工夫されている。(参考のため、我が娘の専攻分野が特殊分野であるため、大学の施設設備や現役学生の日頃の成果の展示が大いに参考になるのだが。)
 それに加えて教職員と現役学生の対応がすばらしいのだ。 我々が大学の構内で迷っていると、「どこを見学されますか?」と教職員、学生を問わず気軽に声をかけてくれる。それに応えると「ご案内しましょう!」とその分野の建物まで引率してくれつつ、如何なる質問にも即答してくれるのだ。 おそらく現役学生に関しては“オープンキャンパス要員”として選考された学生達なのであろうが、それにしても受験生の一保護者であるこの原左都子の矢継ぎ早の質問にも即答できるそのキャパシティには心より脱帽の思いであった。
 娘にとっては今まで第3希望の位置付けであったこの大学を大いに気に入った様子で、むしろこの大学を“公募制推薦”の対象として早期に合格できたならば入学してもいいとまでも考えている様子である。


 必要以上に丁寧過ぎたりサービス過剰の大学も受験生としては考えものである。
 例えばランチは無料提供、最寄り駅からのバス代も無料サービスという美味しいオープンキャンパス大学もある。 一見いい思いが出来た気はするが、この種の大学ほど人材確保に難儀しているとも考察できる。

 それから一応老舗で昔から世間に名が通っている大学の中には、手厳しい表現をすると「この大学、何を目的にオープンキャンパスを実施してるの??」 と言いたくなるお粗末とも言える大学も存在する。
 例えば、我が家の近くに偶然我が娘が志望する分野の老舗大学の学部が存在する。 自宅から歩いて通える程近いこともあり、昨年からこの大学のオープンキャンパスに親子で通っている。
 ところが、この老舗大学のオープンキャンパスの実情が“お寒い”限りなのである。 まず第一に教職員も学生も受験生や保護者に向かって“あいさつ”を一切しないのだ。 暑い中頑張っている学生にこちらから挨拶すると、中には快く返してくれる学生もいるのだがほとんどの学生は戸惑っている。 ましてや教職員に関しては、事前に挨拶をしない取り組みでもしていたのであろうか?? こちらから質問しないと誰も反応さえしない有り様である。 この大学の学部全体会のテーマが“交流”とのことで、担当教員によるその話だけは立派ではあったものの、この大学学部の“交流”とは一部だけに通じる形骸化したものであろうと原左都子は悟ったのである。 恐らく教員の発言とは裏腹にこの大学は一部の世界に特化するがあまり、一般世界には閉鎖的な空間でしかないのであろう。 (この大学に関しては施設設備面でも我が子が目指す分野においてまったく満たされていないため、残念ながら今年のオープンキャンパス時点で志望却下対象とした。)
 (日芸さん、せっかくオープンキャンパスを開催しているのだから、せめて訪問者にはオープンに“あいさつ”ぐらいしても損はないと原左都子は思うのですが、それにも優先する程の貴学部のプライドでも存在するのでしょうかね??どうなのでしょうか?)


 いやはや、ご家庭により子どもを大学へ進学させる目的意識とは多様なことであろう。
 我が家の場合、娘の志望分野が明確なため大学のオープンキャンパスが果す役割を高1時点から堪能できている。
 そうではなく、もしこれから大学での志望分野を絞り込もうとしているご家庭においても是非共オープンキャンパスを有効利用して欲しい思いの原左都子である。 現地へ赴いて生身の教職員や学生に直接話を聞くことにより、必ずやパンフレット等の資料では得られない大学の持つ真の特質、個性を実感できるはずである。 
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