水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

愉快なユーモア短編集-89- 減価償却(げんかしょうきゃく)

2018年11月19日 00時00分00秒 | #小説

 この世のものは、すべてではないものの、ほとんどの物が傷(いた)んだり磨耗(まもう)して使えなくなっていく。この事実は見える映像、見えない心理を問わず共通している。この磨耗を減価償却(げんかしょうきゃく)という。人が成人以降、年を取るにつれて肉体的[足腰が弱るなど]や精神的[ピュアさが消えるなど]に少しずつ老いていくといった例がそうだ。
 選挙が終わった次の日である。偶然、出会った二人の買い物客が店の前で立ち話をしている。
「終わりましたなっ!」
「はあ、終わりました。…まあ、読み筋どおりでしたが…」
「そうですな、寂しい限りです。ますます保守的になりました…」
「というか、政治が減価償却して、受け皿がないっ!」
「そうそう、対立軸がなけりゃ保守になりますわな」
「っていうか、政治を諦める・・みたいなっ!」
「ですなっ! となれば、投票より買い物とか? ははは…」
「私らですなっ! ははは…」
「永田町は草だらけっ!」
「まあ、草だらけじゃないかも知れませんが、二→一毛作くらいに減価償却してますかなっ! はっはっはっ…」
「はっはっはっ…」
 二人は馬鹿馬鹿しい! と言わんばかりに愉快な笑い声を上げた。
 減価償却すれば、勝つことが必ずしも勝ちとはならない・・ということだろうか。^^

                                 


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